リモート実施で見えた「新人研修」の新しい形-2
コロナが終息したら対面に戻すべきか?
リモート型ならではの利点
こうした意見が多く聞かれることを考えると、結局、リモート型の導入研修は定着しないのでしょうか? リモートによる新卒プログラムの告知情報を眺めると「一度に集まることがない」「研修会場の手配が不要」「出張、宿泊費用がかからない」と予防面・費用面の優位性が謳われているものが大半。それだけしか優位性がないのなら、コロナ終息後はすべて集合型に戻るとしか考えられません。
でも、リモート型の利点はそれだけなのでしょうか?
ハイブリッドでリモート型の活用は続けるべきと考えます。その理由はリモート型ならではの利点があるから。
例えば、注目してみたいのがサイバーエージェントの取り組み。人材開発で新しい取り組みを果敢に行う企業として有名ですが、コロナ対応で行ったフルリモートの新卒研修をHPに公開しています。講義形式だけでなく、グループワークなども加えたプログラムが紹介されています。
そこから見えてきたリモート型の利点は、反復学習や個別指導が簡単なこと。履歴から把握できる理解度や習熟度を鑑みて、プログラムを個別提供することも容易のようです。
近年、職種別・キャリア別採用を行う会社も増えてきており、複線型の導入研修を行う必要も出てきています。そのような“脱一律”の研修企画に効果を発揮することでしょう。
あるいは映像を通して自身を表現しやすいのも利点です。受講者の声としても、意見出しや議論が活発化し、対面に比べても相互コミュニケーションのストレスが少ないとの意見を何人もから聞きました。
受講者の表情なども、画面を通じて全員が共有することができるので、緊張感が維持できる。それだけ集中力が求められるので疲れるとの意見もあったくらいです。こうした利点があるなか、またゼロに戻すのはもったいないとしか言いようがありません。