【福岡/北九州市/キャリアコンサルタント】1. 傾聴とは?
「傾聴」とは、相手のいうことを否定せず、耳も心も傾けて、相手の話を「聴く」会話の技術を指します。
「ただ話を熱心に聞くだけなのでは?」と思われるかもしれませんが、意識すべきなのは、相手に共感し、信頼していると示すこと。経済産業省が「職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事するうえで必要な基礎的な能力」として提言している「社会人基礎力」の要素にも、「傾聴力」が含まれています。ここからは、実際に傾聴を行う際の注意点を見ていきましょう。
傾聴をトレーニングすることで人間関係がスムーズになる!?
傾聴ができるようになると、信頼が生まれ、社内の人間関係がスムーズになるといわれています。傾聴のポイントは、「耳できく」「目できく」「心できく」の三点です。
(2)目できく:相手の言葉以外の行動(姿勢、表情、しぐさ、声の調子など)に注意を払う
(3)心できく:相手の言葉の背後にある感情も受け止め、共感を示す
(1)耳できく:相手の言葉によるメッセージに最後まで耳を傾け、理解する
傾聴では相手のいうことを、偏見を含まずに聞き、自分の価値判断で評価せず、否定的にならないことが求められます。そのため、相手が沈黙したり、考えていたりする場合などは、できる限り待つ姿勢が望ましいとされています。「耳できく」とは、相手が話すのを邪魔せず、理解することを意味しています。
(2)目できく:相手の言葉以外の行動(姿勢、表情、しぐさ、声の調子など)に注意を払う
傾聴で重要なのは、相手の表情や声の調子なども同時に見ることです。相手が本音で語っているかどうか。語っていないのであれば、どのような態度でのぞめばいいのか。相手のことを本当に理解しようと思えば、このような非言語的コミュニケーションにも配慮しなければなりません。
(3)心できく:相手の言葉の背後にある感情も受け止め、共感を示す
言葉の裏側の気持ちまでも推測し、受け止め、共感を示すことも必要です。部下は上司に対して、会社の愚痴を言いにくいもの。そのため、「いい会社だと思っています」「楽しく仕事しています」など、当たり障りのない言葉しかいわない場合もあります。傾聴では、本心はどうなのかを推測し、それを受容・共感することが求められます。
傾聴を職場に取り入れるメリット
普通の「聞く」とは異なる「傾聴」ですが、どんなメリットがあるのでしょうか。
(1)信頼関係が構築されやすくなる
人は自分の悩みを話しているときに、相手からいちいち反論されると、「もうこの人には相談したくない」と考えるようになります。一方、傾聴では共感をもって話を聞くので、相談者の心をすっきりさせる効果があります。
ある人に話を聞いてもらうことで悩みが解消し、心がすっきりしたなら、また「あの人に話を聞いてもらいたい」と思うでしょう。傾聴では、このような安心感を相手に与えることを目的としています。そういった状況になれば、職場の同僚や部下、上司との間に信頼関係が築きやすくなります。
(2)業務が円滑に進むようになる
信頼関係が構築されていないのに、あれこれ命令されると、人は嫌な気持ちになるものです。一方、お互いに信頼関係が成り立っていると、急な仕事を与えられても「あの人に頼まれたのならやろう」という前向きな気持ちで仕事に取り組むことができます。
このように信頼関係の構築は、仕事を円滑に進めていく上で大変重要ですが、その際に役立つのが傾聴なのです。「今の言葉は、相手を傷つけていないだろうか」といった反省の機会にもつながるでしょう。
続いて、どうすれば傾聴の技術を身につけられるのかを解説していきます。