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【福岡/北九州市/経営コンサルタント】「仕事でコロナ感染」労災申請が急増、100%認定の驚き

【福岡/北九州市/経営コンサルタント】「仕事でコロナ感染」労災申請が急増、100%認定の驚き

仕事が原因で新型コロナウイルスに感染したとして、労働者災害補償保険(労災保険)の申請が急増している。5月の30件台から9月1日時点で1000件に迫った。このうち審査を終えた約500件について厚生労働省はすべて労災を認めた。認定率は脳疾患などで3割程度であり、100%は異例。医療関係者だけでなく小売業など一般の仕事でも可能性が高ければ認定する新方針の効果だ。どのように運用されているのか。

■労災保険は健康保険に比べ補償が手厚い

「新型コロナへの労災の対応は確かに早い。評価すべきだ」。労災にくわしい弁護士の川人博氏はコロナ労災の認定率100%についてこう話す。川人氏はクラスター感染が起きた中野江古田病院(東京・中野)勤務の看護師の労災申請で代理人を務めたが、迅速に認定が出たという。

仕事が原因の傷病を対象にする労災保険は健康保険に比べ補償が手厚い。療養にかかる費用の自己負担はゼロ。休業中は休業補償給付として賃金日額の60%、休業特別支給金として同20%の計80%が支払われる。健康保険の66%に比べ割合が大きい。療養期間中とその後30日間は労働基準法19条による解雇制限期間となり雇用も保障される。

補償が手厚い分、労働基準監督署の審査は厳格だ。傷病が仕事で起きたことを示す「業務起因性」と、仕事中に発生したのかを問う「業務遂行性」の2要件を満たすことが必須だ。脳・心臓疾患の認定率は2019年度で31.6%にとどまる。

■厚労省が認定手順を早める新方針

しかし新型コロナに関しては様相が異なる。厚労省が認定手順を明確にし、決定を早める新方針を打ち出したのだ。まず1月中旬の国内初の感染者確認を受け2月3日に全国の労働局に「特定の業務には起因性がないとの予断を持たず対応すること」と通達を出した。ただ、この時点では「感染経路が明確に特定されること」が条件で、職場に大規模クラスターでも発生しない限り、一般の会社員が業務上感染を証明することは難しかった。4月初めで申請は数件だった。

だが、緊急事態宣言のさなかの4月28日、同省は感染拡大に追い立てられるように2本目の通達を出した。

(1)医師、看護師、介護従事者の感染(2)それ以外の一般の職業で感染経路が特定された場合――の2パターンを原則労災と認めた。さらに、(3)一般の職業で感染経路が特定されない場合でも、感染リスクが相対的に大きい業務で、医学専門家の意見と労基署の調査で仕事による感染の可能性が高い場合、労災と認める新しい着眼点を示したのだ。

西村斗利補償課長は「労基法施行規則別表に労災となる感染症の記載があるが、それだけではどんな場合に認めるのか不明だった。通達でその点を例示した」と話す。

全国の弁護士や社会保険労務士、企業にもこの通達情報が流れた。加藤勝信厚労相も日本医師会などに労災の積極活用を働きかけたことで、5月14日時点でも39件しかなかった申請は7~8月に急拡大した。この2カ月で一般の職業の感染者からは170件の申請が出て、審査を終えた66件すべてで労災が認定された。うち1件は死亡例だ。毎日数十人と接客して商品説明をした小売店の販売員や、日々数十人の乗客を乗せていたタクシー乗務員が含まれた。

■労災の補償範囲は見通せず

だが、医学的に新型コロナについて全容がつかみ切れていないことから、労災認定されたとしても、労災制度が幅広く適用されるかどうかは予測できない。回復した人の中には後遺症を訴えるケースがある。しかし、医療費の100%負担や賃金80%補償まではカバーできたとしても、後遺症が残った場合の障害補償年金が出るかどうかは見通せないのが現状だ。

また、コロナが他の傷病より労災認定が早いことは、急場の現在はともかく、将来は制度全体との整合性の調整が必要だろう。川人弁護士は「従来、脳疾患や心臓疾患の労災申請は決定まで1年かかることもあり、ウイルス性疾患が労災認定されることもゼロに近かった。新型コロナと他の疾病とのバランスも問題になる」と指摘する。

国内の新型コロナ感染者約6万9000人に比べ、労災申請割合は1.4%と微少。せっかくの労災制度が十分使われていない。認定率100%は、感染拡大の一局面の現象かもしれないが、仕事上の感染だと感じたら、勤務先に気兼ねすることなく労災を申請することが大切だ。

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