【福岡/中小企業支援】日銀、大規模緩和維持を決定 景気判断は上方修正
日本銀行は17日の金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の維持を決めた。新型コロナウイルス対応で導入した企業の資金繰り支援や、上場投資信託(ETF)買い入れなど市場の安定に向けた政策を継続する。景気判断は世界的な経済活動の再開で輸出や生産が持ち直しつつあることを受け、上方修正した。
日銀は16日から2日間、会合を開いた。17日午後に黒田東彦総裁が記者会見し、決定内容を説明する。
短期金利をマイナス0.1%、長期金利の指標になる10年物国債利回りをゼロ%程度に誘導する金融緩和策(長短金利操作)は、賛成多数で現状維持を決めた。
日銀は3月以降、企業の資金繰り支援と市場安定を柱とするコロナ対応策を進めてきた。金融機関による企業への融資は拡大し、市場も落ち着きを取り戻していることから、追加措置は現時点で不要と判断した。
景気判断は7月時点の「きわめて厳しい状態にある」から「引き続き厳しい状態にあるが、経済活動が徐々に再開するもとで、持ち直しつつある」とした。上方修正は新型コロナの感染拡大以降初めて。中国向けの輸出や自動車関連の生産などが回復しつつある。
ただ、7~8月の感染再拡大で飲食・宿泊など対面サービスを中心とした消費の回復は鈍い。今後の景気が順調に回復基調をたどるか不透明な部分も大きい。菅義偉内閣の動向もにらみ、当面は追加策の必要性を見極めると見られる。