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【福岡/北九州/中小企業支援】需給ギャップ、日銀版もマイナス 雇用守れるか

【福岡/北九州/中小企業支援】需給ギャップ、日銀版もマイナス 雇用守れるか

日銀が5日に公表した2020年4~6月期の需給ギャップはマイナス4.83%だった。内閣府の試算では19年10~12月期からすでにマイナスとなっているが、日銀版も約4年ぶりに水面下に沈んだ。経済の急激な縮小を映し、マイナス幅は11年ぶりの大きさだ。日本経済の供給の「実力」に対し需要が大幅に不足しており、雇用を守れるかどうかがますます重要になってくる。

■09年4~6月期以来の深いマイナス

マイナスになるのは16年7~9月期以来で、その深さは09年4~6月期のマイナス5.53%以来となった。日銀は労働力調査や鉱工業生産統計、全国企業短期経済観測調査(短観)の判断DIなど労働や資本の稼働状況のデータを用いて需給ギャップを試算している。計算方法は異なるが、考え方としては実際の需要を示す国内総生産(GDP)と日本経済の平均的な供給力である潜在GDPの差を、潜在GDPに対する比率で示したのが需給ギャップだ。

需給ギャップは経済全体の「稼働率」ともいえ、物価のモメンタム(勢い)を決める重要な要素になる。みずほ証券の宮川憲央マーケットストラテジストは、大幅なマイナスを「新型コロナウイルス禍で需要がいったん蒸発したため」と解説し「すぐには戻らず、物価に下落圧力をかけ続ける」とみる。

日銀は7月にまとめた経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、当面の需給ギャップについて「失業率の上昇や労働時間の減少、資本稼働率の低下などからはっきりと悪化し、大きめのマイナスで推移する」との見通しを示していた。

7~9月期以降の日本経済は持ち直しが見込まれているが、「戻りは鈍い」(農林中金総合研究所の南武志・主席研究員)との見方が多い。同氏は「資本や労働という生産能力に対する需要が足りずに過剰な設備や人員を企業が抱えるのは、今後の回復の障害になる」と話す。

重要なのは「雇用が一段と悪化するかどうか」(ドイツ証券の小山賢太郎チーフエコノミスト)だろう。現状は残業やパートタイムといった労働時間の減少が先行する。小山氏は「有権者の生活に直結する雇用の悪化は、追加の政策対応へのトリガーになりうる」と読む。菅義偉政権にとっても、雇用維持は重い課題となる。

■大幅な需要不足、誤解招きやすい年率換算

実際のGDPをもとに%表示の需給ギャップを「需要不足額」に引き直せば「埋めなければならない規模」の目安になる。4~6月期の実質GDP(季節調整済みの年率換算)は484兆円だったので、「需要不足額」として25兆円弱という数字が出てくる。

ただし、実際のGDPも潜在GDPも「年率に換算した数字」という点に注意が必要だ。内閣府では年率換算前の季節調整済み実質GDPを公表していないが、1四半期という3カ月間でみれば潜在GDPに比べて足りなかった実際の需要は、この4分の1となる。

経済が急変動する現状では、年率換算は誤解を招きやすい。著名為替ストラテジストとして活躍し、現在は独立系リサーチ会社の代表を務める田中泰輔氏は「年率で経済指標をみるのは『平時』の読み方」と指摘する。波が小さい平常時は経済の微妙なリズムを見極めるために年率に換算した現実の成長率と、やはり年率である「巡航速度」の潜在成長率を比べることなどは便利だ。だが、今のような激変期に、わざわざ年率で測る意味はないという。

四半期での大幅な需要不足などに目を奪われがちだが、田中氏は「本質的な問題は、半年くらいたって需要がまだ足りず元の水準にどの程度、届いていないかを見極めること」と強調する。いきなりストップした経済活動が再開しつつある現状、「この先の着地点をイメージしながら変化をみていくべきだ」と話す。

■潜在成長率はほぼゼロ

 潜在GDPの伸びを潜在成長率という。日銀によると4~6月期時点ではプラス0.07%とほぼゼロになった。10年7~9月期以来のマイナスも迫る。

 成長率を供給力からみると、資本と労働の投入量とそれらの利用効率である「全要素生産性(TFP)」の伸びに分解できる。こうした数字の過去の平均的な傾向から計算したものが潜在成長率で、理屈上はころころ変わるものではない。それでも今のような急激な変動があると、足元の動きが過去の平均に影響してしまう面がある。日本の潜在成長率は低空飛行を続けてきたとはいえ、マイナスが目前になったのはこうした要因もある。

 日銀が試算した4~6月期の潜在成長率の寄与度をみると、労働投入量のうちの労働時間がマイナス0.69ポイントと全体を押し下げた。就業者もプラス0.16ポイントと18年初めころの直近ピークであるプラス0.49ポイントから大幅に低下した。労働時間の減少が先行しているとはいえ、今後は雇用維持に耐えられなくなる企業が増えかねない。

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