スタッフブログ
blog

【福岡/北九州/働き方キャリア相談】生活者としての環境整備を 外国人労働者政策の課題

【福岡/北九州/働き方キャリア相談】生活者としての環境整備を 外国人労働者政策の課題

ポイント
○日本人に不人気な産業が受け入れで延命
○人材ビジネスの苦境で働き手確保難航も
○受け入れ産業は労働条件・環境の改善を

現在はコロナ禍で止まっているが、日本では外国人労働者の受け入れが拡大の一途をたどってきた。ただし就労状況をみると、外国人労働者でなければならないという性質の仕事はあまりない。特に近年大きく伸びてきた外国人技能実習制度については、そもそもの制度目的が「技能移転を通じた国際貢献」なのだから、もともと日本人労働者が従事して技能を磨いてきた仕事ということになる。

また2019年から始まった特定技能制度も、対象業種の大半が外国人技能実習制度の対象職種と重なっており、技能実習を終えた外国人労働者がそのまま移行することを期待し誘導する制度設計となっている。

つまりこれらの制度は、日本人労働者が就きたがらない求人難の産業に海外からの労働力をあてがう手段として機能している。小熊英二・慶大教授が「人間補助金」などと表現するゆえんだ。こうした外国人労働者が、技能実習制度では実習名目でサイドドアから、そして特定技能制度ではようやく「労働者」としてフロントドアから受け入れられるようになったわけだ。

◇   ◇

技能実習制度(多くの場合、1号プラス2号の3年間)では、労働者各人の勤務先や職種、作業が在留資格にひもづけられ、転職が制限されることで人間補助金としての機能が事実上確保されている。同時に制度運用での国からの財政や人員の出動は最小限に抑えられている。例えば人権侵害の状況などに鑑み、17年施行の技能実習適正化法の下で外国人技能実習機構(OTIT)が設置されたが、受け入れ企業の実地検査は3年に1度できるかどうかという陣容で、マンパワーが圧倒的に不足している。

他方、転職の自由をうたう特定技能制度(多くの場合、1号のみ5年間)では、業界団体が引き抜きの禁止を申し合わせるなどして就労先の固定化が図られている。またOTITのような監督機関は設置されておらず、技能実習制度では国内で禁じられている人材ビジネス参入が許されるなど、労働者保護の観点からは技能実習制度以上に脆弱な立て付けとなっている。なお、技能実習制度で受け入れ窓口となる監理団体は一応非営利の建前とされている。

技能実習制度および特定技能制度1号の場合、外国人労働者には家族の帯同が許されず、期間満了後は日本に住み続けることも許されない。21年に試験が開始される特定技能制度2号ではこれらに道が開かれるが、対象は建設と造船・船舶工業に限られている。

従って多くの若者が最大で10年間(技能実習3号を修了し特定技能1号に移行した場合)、子どもの教育や老後の福祉といった行政サービスを享受することなく、家族から離れて就労し、期間が満了すれば帰国を迫られる。彼ら彼女らに単なる「出稼ぎ」労働者として以上の愛着を会社や日本社会に持ってほしいというのは虫の良すぎる話だろう。

出稼ぎ外国人労働者を受け入れている不人気産業にはいわゆる斜陽産業が一定数含まれる。激化する国際競争の中で活路を求めて海外に進出することも、生産性や商品価値を高めて勝負に出ることもできない。そしてサプライチェーン(供給網)の中で下請け工賃を不当に安く抑えられ、あるいは立地する地域の過疎化が進むなどして、個別企業の努力だけでは日本人労働者を集められない中小・零細企業が、最低賃金でも辞めずに働く外国人労働者に頼り延命しているわけだ。

不人気産業には、現在および将来の国民生活全体にとって必要不可欠な分野、食料安全保障などの観点から国策として守らねばならない分野もある。典型例が介護や農業だが、やはり労働条件面などで魅力に欠けるため日本人労働者が集まらず、出稼ぎ外国人労働者への依存を強めている。

介護分野に関しては国も危機感を募らせ、経済連携協定(EPA)、在留資格「介護」、技能実習、特定技能と、外国人労働者を受け入れるための様々なスキームを用意している。国家試験に合格すれば永住などへの道も開けるが、技能実習生として入国した労働者にはハードルが高く、現実的な目標とはなり得ない。

今般のコロナ禍は、出稼ぎ外国人労働者の労働力に過度に依存することの危険性を認識する良い機会になった。来日予定だった新規の外国人労働者が入国できず、収穫期を迎えた農家などに大きな影響が及んだ。

現在は、コロナ禍で失職したり帰国困難に陥ったりした外国人労働者に対する雇用維持支援として、「日本人の雇用を奪うおそれ」がない、すなわち不人気産業である特定技能対象業種への他業種からの転職が許され、マッチングが図られている。しかしコロナ後の日本に、彼ら彼女らはとどまってくれるのか。そして新規の外国人労働者たちはこれまでのように日本を目指してくれるだろうか。

そもそも日本の賃金水準は他の先進諸国より低く、労働条件のみからみれば、とうに魅力的な出稼ぎ先ではなくなっている。言語も難解で、しかもほぼ日本でしか使えない。苦労して覚えても、来日した若者たちの大半は、期限が来れば帰国を余儀なくされる。少子高齢化などで今後大幅な経済発展も見込めない。

それでもなお、特に外国人技能実習制度の下で多くの若者たちが来日してくれた理由は、日本社会の安全、秩序、清潔や日本人の礼節、親切、勤勉などに対する信頼だ。コロナ禍にあり、日本の地で様々な困難に直面する彼ら彼女らを私たちがどうサポートしていくかが、送り出し国の人々の日本に対するイメージを大きく左右することになろう。

なお、技能実習生などの数が増えてきたいま一つの理由は、受け入れ対象職種の拡大もさることながら、技能実習生の送り出しや受け入れ自体が人材ビジネスとして確立し、拡大してきたことにも求められる。多くの送り出し国で、若干の日本語と送り出しビジネスの実態を学んだ元技能実習生たちが帰国後の職業として送り出しビジネスに参入し、手数料収入を得るために新たな技能実習生たちを日本へ送り込んできた。

だが今般のコロナ禍で送り出し機関の多くが苦境に立たされている。日本側の監理団体にも経営破綻するところが出てきた。コロナ禍が長引けば、人材ビジネスの市場規模が縮小し、来日する働き手の確保が困難になることも考えられる。

今後、日本の外国人労働者政策はどうあるべきか。日本人であろうと外国人であろうと、地域社会の中で家族と暮らし、その生活を支え、より豊かなものにするために働き、その中から各産業の後継者が生まれていく構造でなければ当該産業は続かない。まずは各産業での労働条件や労働環境を、日本人からも外国人からも就労先として選ばれる内容に適正化することだ。

そのうえでやはり外国人を受け入れる必要があるのなら、ともに社会を構成し守り育てていく仲間として家族の帯同も含め、長期的に安心して生活してもらえる環境の整備が不可欠だ。

お問い合わせはお気軽に!

ご不明・ご不安な点など、
何でもお気軽にお問い合わせください。

TEL: 093-981-0244 093-981-0244
営業時間: 10:00~19:00 不定休(カレンダー参照)