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【福岡/北九州/ダイバーシティ】ニーズ高まる法務分野 弁護士資格ない女性も力を発揮

【福岡/北九州/ダイバーシティ】ニーズ高まる法務分野 弁護士資格ない女性も力を発揮

■実務経験生かして法務部でキャリア積む

総合商社の法務部は弁護士資格を持つ社員が多数在籍する。岩本真利亜さんは三井物産法務部で室長補佐としてチームをまとめる。弁護士の部下も抱えるが、岩本さん自身は中国学科の出身で弁護士ではない。営業に関心はあったが、より専門性が磨ける法務に魅力を感じ、法務部のキャリアを選んだ。

法務部で中国法を専門とする社員は岩本さんを含め2人だけ。中国への語学留学や赴任の機会を通じ、中国法の実務への理解を深めたのが強みだ。「債権回収などの案件に直面して生きた知識を得たことで、有資格者とも議論できるようになった」と話す。

同社法務部の女性社員は35人で全体の半数を占める。管理職でも半数近くおり、「全社平均と比べても多い」(同社)。私生活を含めて女性に相談しやすい職場環境が女性の能力発揮につながっている。

法務部の業務は株主総会の運営支援や出資、買収の契約書確認など多岐にわたる。だが、何年かで方法が大きく変わるわけではない。「基本の土台が変わらないので、産育休明けの社員も戻りやすい」(同社)という。

コンサルティングサービスのデロイトトーマツグループで秘書を務める望月恵さんは、昨夏から法務部を兼務する。秘書としては役員のスケジュール管理や経費精算などを主に担う。「高度な専門性を身につけて、より多くの人をサポートしたい」と考えていたころ、法務ポストに空きが出たことを知り、応募した。法律事務所で秘書経験があったことも後押しした。

望月さんの業務の8割を法務が占める。コロナ下で秘書として役員との対面の機会も減り、より法務に専念しやすくなった。法務部では書類作成や書面確認など、通信インフラさえしっかりしていれば自宅で進められる仕事が多い。望月さんも企業との監査契約の確認作業をするのが主な業務となった。

■女性弁護士増加に伴い、資格ない女性も法務に注目

商事法務研究会(東京・中央)などの調査によると、法務部門における女性比率は15年時点で29.9%と、1990年から約2倍に増えた。けん引するのは社内弁護士の存在だ。日本組織内弁護士協会(JILA)の調べでは、会員弁護士の4割を女性が占める。04年に法科大学院が導入され、司法試験に合格する女性が増えたことが背景にある。

近年は弁護士や法科大学院の出身者以外でも女性が活躍している。法務人材の転職支援を手掛ける企業法務革新基盤(東京・千代田)によると、弁護士資格を持たずに法務部で働く人のなかで女性は90年代に10%未満だったが、今は30%台にまで上昇しているという。

野村慧・最高経営責任者(CEO)は「女性社員には専門性がないと生き残れないという危機感が強い」と指摘。「スキルの成果が明確に出やすい法務への関心が高まっている」と話す。

■国の競争力強化へ 求められる法務人材の多様性

LINEの山田美央さんは18年、自社メディアの企画・編集の部署から法務室に移った。法学部の出身だが、いったん編集者などとして働き、幅広いメディアを提供するLINEに転職。コンテンツの配信にあたり、著作権の保護などで法務室と接点を持った。事業を後方から支える法務に興味が湧き、社内公募制度を使って手を挙げた。

「現場の経験があるからこそどういう法的な落とし穴があるのかは、法務室の社員よりも肌感覚でわかる」。これまでのキャリアが生きていると実感する。

現在は電子マンガやゲームなどのサービスを提供する際の契約書の作成や、現場からの著作権管理などの法律相談の対応が主な業務だ。法務の仕事は性差を感じることが少ないという。「弁護士資格のある女性社員の働き方を手本にしたい」と意欲をにじませる。

SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みや次世代技術のルールづくりなどで、法務の仕事の重要性は高まっている。経済産業省は昨年11月、競争力強化に向けた法務機能のあり方について報告書をまとめた。女性や外国人らを積極的に活用することの必要性を指摘。各業界で活躍している女性の法務担当者をモデルとして紹介した。

法務部は従来、ほかの部署との交流が少ない「たこつぼ」のようなキャリアになりがちだった。多様な経歴を抱えた女性社員が増えることで、法務部門の活性化につながる面もあるようだ。

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