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【就活】エントリーシートは「小さな成長物語」でいい

【福岡/北九州/働き方キャリア相談/就活】エントリーシートは「小さな成長物語」でいい

就活にはさまざまな誤解がある。そのなかで、もっとも厄介なのは「学生時代にこんなすごいことをした」という実績競争であるという誤解だ。もちろん、わかりやすい実績があったほうが有利であることに違いない。

だからといって、ESを見る担当者や面接官は、あなたの実績、つまり過去だけを見て、あなたのすべてを評価しているわけではない。実績の大きさは、評価項目の1つにすぎないのだ。

そのため「ESに書けるようなことなんてない」と落胆する必要はない。「大した実績もないし、自分は評価されないに決まっている」とあきらめることもない。大きな実績こそすべてという呪縛から解き放たれることから始めたい。では、大人たちは、あなたの何を見ているのだろうか。

前提として言えるのは「あなたが使う言葉でしか、あなたを評価することはできない」という事実ある。就活は、あなたが行ってきたことや感じてきたこと、今後やりたいことを、言葉を用いて理解を深め合うコミュニケーション活動である。

そこで重要なのは、あなたの中にある「言葉にできない気持ち」を言葉にしようとすることに挑む姿勢である。心の中にあるモヤモヤは「うれしかった」「かなしかった」といった単純なものではなく、あなたが大切にしている価値観そのものであり、あなただけの感情と言えよう。

こうした、あなたらしさが宿った気持ちに、適切な言葉を与えようとする作業が、自分の言葉を生むことに直結する。自分の気持ちと向き合いながら、心と言葉を結び付けていく作業が就活の肝となるのだ。実際に行ってきたことや実績は出来事にすぎず、常に、出来事の裏にある背景や心情を言葉にすることを心掛けたい。

ここからは、より具体的な内容に入っていこう。マーケティングには、ストーリーテリングという考え方がある。日本語に訳すと「物語を語る」となるのだが、製品やサービスの良いところをしゃべり倒すのではなく、聞き手の興味を惹き、思わず聞き入ってしまう物語として語ることの重要性を指している。

就職活動においても同様である。自分の長所や魅力を一方的に話し切ったところで、聞き手である人事担当者や面接官の心を動かすことはできない。

人が心を惹かれる物語には、いくつかの法則がある。例えば、なんでもそつなくこなせる器用な人物の話を、楽しんで聞ける人は多くない。途中から自慢話にしか聞こえなくなり、興味が失われていくのは明らかだ。

人の心を動かす主人公とは、どのような人物であろうか。きっと、できることは少ないながらも、その瞬間に自分がすべきことを考え、悪戦苦闘しながら前に進もうとする、名もなき人物である。ダメな自分ながらも懸命にもがき続ける姿が人を惹きつけるのだ。

名作と言われる小説や漫画、映画・ドラマを思い出してもらえば、思い当たるものばかりではないだろうか。やってきたことは小さくていい。成功を収めていなくてもいい。ただ、等身大の葛藤と、なりふり構わず起こした行動を、小さな成長物語として語り切ればいいのだ。

ピンと来た人もいるかもしれない。そう、あなたも、人の心を揺さぶる物語の主人公に十分になりうる。馬鹿がつくほど真面目で、地道に進もうとする姿を、物語で描き切ればいいだけなのだ。

とはいえ、物語を1行目から書くのは難しい。そこでお勧めしたいのが、あなたの成長物語を声に出して語ってみることである。「たいそうなことを話す必要はない」という前提に立ち、リラックスした気持ちで音声を録音する。

そして、その音声を素材として活かしながら、文章に落とし込む。すると、素直ながらも深みのある文章を書くことができるようになる。スマートフォンの録音機能を使えば簡単なので、ぜひ実践してみていただきたい。

就活に関する問いの多くは、過去を問うものである。そこで気をつけたいのが、過去の設問に、未来を織り交ぜながら答えることである。過去よりも未来の話のほうがワクワクするという側面もあるのだが、本質的には、過去の話は自分の話でしかないが、未来の話は自分と社会が自然と接続されることに起因する。

「こんな自分になりたい」という意志は、「こんな社会や会社に寄与したい」という貢献を意味している。つまり、未来を考えることは、自分の成長物語の続きを描くことであると同時に、自らの力を社会に貢献できる価値へと変換させる力を持っているのだ。

未来を考えることには、もう1つ利点がある。未来へと目線を上げることで、自己分析の沼から脱することができるようになる。就活は自己分析との戦いでもあるのだが、向き合いすぎると息がつまってしまう。自分の未熟さを痛感し自己肯定感が下がっているところに、不採用の「お祈りメール」が追い打ちを掛けてくる。

そんなときには、未来に目をやるのが有効だ。どんな未来に貢献していきたいのか、言い換えるならば、あなたの時間をどの会社に投資すべきかを考えることで、前向きになれる。そして、思考停止に陥ることなく、自分の頭で考えるモードに切り替えることができるのだ。

過去の海に潜り、時に海面から顔を出し、輝く未来に目をやる。そして、また過去の海へと潜っていく。その繰り返しによって、あなたはあなたの本質を見つめながらも、自分が貢献できる何かを見出せるようになっていく。

私は以前から、未来を語ることができるのは、若者だけの特権だと思っている。新入社員を採用することには、若者が持つ新鮮な風を社内に取り入れる役割もある。現在や過去ばかりにとらわれている大人をよそめに、就活の場においても、未来志向の清々しい風を吹かせてほしい。

就活でよく言われることに、面接官や会社にとって「一緒に働きたい人」を目指す、というものがある。ESに目を通すのは人事担当者だが、一次面接や二次面接は、現場の社員が駆り出されることも多く、こうした文脈が生まれたのだろう。

事実、入社とは一緒に働くことでもあるため、この基準は正しいと言える。しかし、一緒に働きたい人という指針は明確なようでいて曖昧で、要素分解することは難しい。

そこで、私は「応援したくなる人」としたほうが正確であると考えている。応援したくなる人は、ストーリーテリングの項目で説明した人物像と重なる。

不器用であらゆる壁にぶつかり、小石に躓きながらでも、自分の頭で考え一歩ずつでも前に進もうとする人である。こうした指標を、人材業務を行う担当者に投げ掛けたところ、非常に共感できるとの意見を得ている。

器用な人はいまのまま就活に臨めばいいと思う。しかし、そうではないと考える人には、就活に絶望しないでほしいと心から願っている。自分の価値観とは違う物差しで測られ、否定されることもあるだろう。

それでも、腐ることなく、不貞腐れることもなく、あきらめない姿勢を取り続けてほしい。あなたの小さな成長物語とその未来を語れるようになれば、あなたを応援したいと思う人と出会える日は必ずやってくる。その日まで、不器用な自分を表現し続けてほしい。

いまスマホを手に、パソコンの前で、孤独を感じながら就活に挑んでいるあなたへ。小さな成長物語を語り切る。過去だけでなく未来を見据える。そして、最後に、自分の可能性を誰よりも信じられる自分でいる。そんな姿勢を持つだけで、あなたの言葉は強くなり、あなたを正しく理解できる人は必ず現れる。そして、大人は、就活を通じて、そんなあなたと出会えることを楽しみにしているのだ。

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