職業や進路の代わりに「キャリア」(career)という用語が使われていることが多い。
一般には経歴、履歴またはその人の専門職業、仕事などの意味に使われるが、使用する人や研究者によってさまざまである。
これまでの知見によれば次のようなキャリアの定義が挙げられる。
●「人が生涯を通じて関わる一連の労働や余暇を含むライフスタイル」、
●「役割統合(role integration)」に影響を与え、かつ相互に関連する現象としての労働、教育、家族などの選択に当たって個人を援助することに含まれる包括的概念」、
●「人が生涯に行う労働と余暇の全体」、
●「自分が何をするか、自分をどう見るかを結び付ける現象的、行動的概念。それは社会的環境、将来計画、能力や特性などとの関連で、自己をどう見るかを規定する」。
これらが、どちらかというと個人の職業選択、キャリア発達を重視したものであるのに対して、
組織や社会学的な視点を重視した定義がある。
それは、
■「仕事に関連した経験と活動に結び付いた一連の自覚的態度と行動(career)」、
■「個人が時間と空間にしたがって進む組織化ないしパターン化された経路(career pass」、
■「会社や組織において階級の上昇を示すものとしての外的キャリア(external career)」、自己のキャリア形成がその人の自己概念を構成するという内的キャリア(internal career」、
■「事業所内のある職業の上向移動の機会
(career ladder」、
■事業所内のある職業の上向移動と水平移動のすべての機会(career lattice)などである。
まだありますが、割愛します。
アメリカで「職業からキャリアへの転換」が1950年代の始めに行われたが、その推進者の一人であったスーパー(Super.D.E 1976)が、その定義の中心として指摘した合意を取り上げる。
それは、
❶人生を構成する一連の出来事。
❷自己発達の全体の中で、労働への個人の関与として表現される職業と、人生の他の役割の連鎖。
❸青年期から引退期にいたる報酬、無報酬の一連の地位。
❹それには学生、雇用者、年金生活者などの役割や、副業、家族、市民の役割も含まれる。
という定義である。
引用文献
キャリアコンサルティング理論と実際
木村 周 著
今、私の妻がキャリアコンサルタント養成講座の受講が終わり、再度本書を読み返しています。
この本はキャリアコンサルタントのバイブルですね。