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クライアントとセラピストの「かかわり」

クライアントとセラピストの「かかわり」

心のテーマをめぐるクライアントとセラピストの「かかわり」は、瞬間瞬間に生起する。
それらは言葉を介して、あるいは言葉を越えて生じる。
非言語的に表出される、さまざまな行為・振る舞い・姿勢や、さらには言葉を発するときの間やイントネーション・リズム・抑揚・強弱は、言葉の内容とマッチしているときもあれば、逆の気持ちをつたえることもある。

「かかわり」というとき、例えばセラピストからの言語的な介入を強調すれば「セラピストのかかわり」ということになるし、クライアントから無意識に投影される内的世界を取り上げようとすれば「クライアントのかかわり」という表現になる。
いずれにしても心理カウンセリングの設定のなかでは、クライアント・セラピストの相互のかかわりが、無意識的にも意識的にも幾重にも生じ、影響を及ぼしあうことを考えると、かかわりあいと表現できよう。

心理カウンセリングにおけるリアリティ(現実)はすべて、ある一定の時・空間を共にするクライアント・セラピスト両者における意識、無意識、全領域を含めた、相互作用、相互交流にある。
この二人のリアリティに迫るとき、セラピストは先入観をもたず虚心坦懐にクライアントの心に臨む。
一方それまでの臨床経験のなかで体験的に身につけた専門性をできる限り生かし、クライアントが自分自身への気づきを深めていく。その瞬間、その場に立ちあう。

そのような一見矛盾するスタンスをいかに柔軟に統合できるか、心理カウンセリングの臨床の場において、絶えず、セラピストは問われている。

「かかわり」を支える構造

構造の恒常性

心理カウンセリング、言い換えれば、心についての作業は、日常の現実とは異なる時空間のなかで営まれる。
決まった間隔、週に一回なら常にそのリズムで、同じ曜日、同じ時間に、同じ場所で、同じセラピストが会い続ける
基本的には、その心理カウンセリングが終了するまで、そうした一貫した外的な構造が維持される。
一回一回のセッションの”始まりと終わり”によって枠づけられる五十分なら五十分と決められた時間構造が、その構造に守られて、クライアント・セラピストのかかわりが生まれる。

心理カウンセリングが安定して行われるには、”恒常性”がきわめて大切である。

”繰り返し”によってもたらされる体験

「毎回、同じ構造のもとに会う」体験が積みかされることによって、クライアントはそこにどんな安心感を見出すであろうか。
安定した安心できる時間と空間を提供し続けること、このことが第一の基本である。

構造のほころびをめぐって

どうしてもその構造にほころびが生じることもある。
そのときに、クライアントにもそしてセラピストにもそれぞれ動揺が起こる。
その時に、どのような情緒が湧き、どのような感情が優勢となり、どのような言動が現れるか、そしてそれらが両者の関係性にどのような影響を及ぼすであろうか・・・構造の揺らぎや破綻が起こった時、その時にこそ、まさに転移・逆転移がクリアカットに顕在化するのである。

セラピストの基本的な態度

❶内的な構造

❷中立性と受身性
セラピストは自分の価値観、道徳観、よい悪いの評価を基準にしないでクライアントにかかわり、中立性を守る。
そして、できるだけクライアントが自由に話せるように、受身性を保つ。

❸セラピストは自分を知っておくこと

転移・逆転移

転移・逆転移の定義

転移とは、過去の重要な人物(たとえば幼少時期における父親や母親)との間で体験したクライアントの態度、感情、考えが、現在のセラピスト・クライアント関係のなかで不適切、不合理な形で再現される現象を言う。
転移にはポジティブな情緒を基調とする陽性転移と、怒りや憎しみなどの情緒を基調とする陰性転移がある。
また、セラピストに向けられた態度、感情、考えにかつての依存対象である、父、あるいは母との関係性が再現されている場合、父親転移、あるいは母親転移が生じているという。

逆転移とは、クライアントのセラピストに対する態度、感情、考え、ときにその転移に対して生じるセラピストの無意識的な反応(態度、感情、考え)などを言う。
また、もっと広い意味で、クライアントから向けられる転移に対する反応にとどまらず、セラピストがクライアントに向けるさまざまな感情的態度、その他全ての心理的反応を指す場合もある。
いずれにしても、クライアントの心の世界に立ちあうセラピストは、自分の側に生じる心理的な動きについて、できる限り開かれていることが求められる。

豊かな相互交流を生成する土壌

❶情緒的耐性に支えられた持続的共感

❷安心できる空間・境界における発達促進的な情緒的アヴェイラビリティ

かすかにでもクライアントがセラピストにかかわってきたと感じられたときは、そのクライアントのかかわりのトーンに情動状態を合わせながら、すなわち情動調律しながらかかわっていく。
そうしたセラピストの態度は、関心を向ければいつもそこに居て応じてくれるアヴェイラブルな存在として、クライアントにほどよく伝わるかもしれない。
〈情緒的アヴェイラビリティ〉の根底には、受け身的にほどよい境界、心理的空間を保ちながら、乳児ないしクライアントが情緒を向ければ、いつでも情緒的に応じる準備態勢にあるという意味がある。
そこには、セラピストがむやみに侵入的にならない、クライアントが安心できる安全な空間・境界づくりへの配慮が強調されている。

❸かかわりの基調としての情動調律と、その根底にあるオーセンティシティ

セラピストのスタンス、姿勢の基調となっているのは「情動調律」を向けながらかかわり続けるセラピストの基底に流れているのは、オーセンティシティ=真摯さである。
ここで真摯さという言葉で表そうとしているのは、セラピストが、虚心坦懐に、誠実に、真摯に、真剣に、自分のニーズや欲求を脇に寄せてクライアントのこころに臨む「真性の/ほんものの姿勢」である。
しかし、そこまで到達できなくとも、セラピストがそれまでに自分のなかに蓄積した専門家としての知見を携えて、必要とあらば、それらを総動員させてクライアントの心に限りなく近づこうとする姿勢こそ、〈かけがえのない〉そのセラピストのオーセンティシティと言える。

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