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学習の自己調整 2

学習の自己調整 2

3.自己調整学習の支援

自己調整学習理論から、学習者が自己調整的に学習を進めていけるようになるためには、学習のプロセスをモニターしてその結果をいかしながらプロセスをコントロールする「メタ認知能力の育成」「学習方略の教授」、学習を進める原動力となる「動機づけの調整」が必要である。
加えて、教師や友人などの他者を有効な資源として積極的に活用する、「学習コミュニケーション力の育成」も欠かせない。

(1)メタ認知能力の育成

メタ認知能力の育成に関する一つの方向性は、メタ認知能力の向上が期待できる学習活動を、授業や指導場面に組み込むことである。
たとえば、教訓帰納や、自己説明他者に対する説明活動などである。
自己説明とは、自分自身に向けて説明を試みることであり、「自分がよくわかっている部分」と「まだわかっていない部分」が明確になる。
こうした経験を積むことによって、自分の学習状態を把握する力が獲得される。
自己説明だけではなく、学習者同士で互いに説明し合うような説明活動も有効である。
相手からのフィードバックを受けることで、自分の理解状態が十分でないことが明らかになる。
説明を聞く側は、モニタリングの働きを担うということである。
発達的な観点からは、初めのうちはこのようにメタ認知の役割を相手と分担する「(相互)説明活動」にとりくみ、次第にそうしたやり取りを内面にとりこむように促し、自分ひとりで「自己説明」を行っていけるように支援していくという流れが適切であろう。
メタ認知能力の向上が期待できる学習活動を通してメタ認知能力の獲得をめざす、いわばヒドゥンカリキュラム的な指導方法といえる。

一方、メタ認知を明示的に教授する方向での指導も考えられる。
指導者のための基本的な考え方は、おおむね以下の3点にまとめられる。
「メタ認知のしくみと重要性を教えること」、そして「メタ認知的活動のモデルをもせて実際に体験させること」「学習方略を教えること」である。
メタ認知とは、日常的な表現を使えば「自分自身の行為(内面的なものを含めた)を客観的にみつめる」ということである。
メタ認知とは、どのような心の働きであり、なぜ重要なのかを学習者に説明し理解を促すことで、まずその存在を知り、自覚的になることを促したい。
メタ認知自覚的に働かせようとして、子どもたちがつまずくことが多いのが、コントロールの段階である。
この問題は、「わからないことはわかる。でもどうしていいのかわからない」というものである。
つまずきを乗り越えるための学習方略を知らないことが主な原因であると考えられる。
実際、「中高生の学習の悩み」に関する調査によると、7割近くの中高生が「上手な勉強の仕方がわからない」と回答している(2006)。
メタ認知について教授する際には、学習方略についても合わせて説明することが重要である。

(2)動機づけを高める

学習者に対する動機づけを高めるには、これまでに蓄積されてきた多くの動機づけ理論や研究知見が参考になる。
たとえば、動機づけのしくみを説明する理論の一つである期待価値理論からは「学習を進めていけそうだ」といった見通し(期待)をもたせ、その学習を行うことの意義(価値)を感じさせることが重要であることがわかる。
岡田(2007)による実践研究では、高校の英単語学習場面において、学習方略を教えることが学習に対する動機づけを高めることを明らかにしたものである。
学習方法を学習者に具体的に教え、学習者自身が体験することによって、「自分でも学習を進めていけそうだ」という見通しをもたせ、学習に対する動機づけを高めていくといったアプローチを積極的にとりいれていくことが必要である。

小学高学年を対象とした自己動機づけ方略の教授による伊藤の一連の実践研究(2009)では、学習活動の振り返り時のワークシートを活用し、宿題や授業場面で「やる気になれないときのやる気を高める工夫」すなわち自己動機づけ方略を提示し児童自身にも考えさせる働きかけを行った。
具体的には「目標設定」「ゲーム化」「想像」の3つに絞って自己動機づけ方略が紹介され、とりいれやすそうだと思うものを用いるよう指導が行われた。
その結果、半数を超える62.2%の子どもたちが「動機づけ方略を使うことによってやる気が出た」と回答した。
また、同時にこれらの自己動機づけ方略を普段どれくらい使用しているかも尋ねているが、1割強にとどまり、9割弱の子どもは普段は用いていないという結果が示された。

こうした個々のとりくみを統合するような支援プログラムとして、自立的な学習者を個別指導により育成をめざす「認知カウンセリング」がある。

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