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習得の授業のデザイン 2

習得の授業のデザイン 2

2.心理学からみた習得の学習

(1)認知心理学からみた習得

19世紀末から20世紀半ばにかけて心理学の主流であった行動主義においては、人間を含む動物の学習というのは、刺激(stimulus)と反応(responce)の連合としてとらえられていた。
刺激とは、もともと生物に与えられる感覚的な刺激をさしているが、広くとらえれば、生物の置かれた状況といえる。
どのような状況でどのような行動をとれば、報酬あるいは罰に結びつくか、ということが試行の反復によって獲得されることが学習と考えられたのである。

一方では、発達心理学者のピアジェに代表される認知主義の考え方によれば、学習とは、認知構造の変化である。
ピアジェは、新しい知識を既有知識の体系の中にとりこむこと同化整合的にとりこめないときに既有知識の体系を変化させてとりこむこと調節と呼んだ。
同化と調節繰り返しながら整合的な知識体系を作り上げていくこというのが、認知主義からみた学習ということになる。
また、この考え方は、知識は外部からそのまま刷り込まれるものではなく、学習者により主体的に構成されるものであるとすることから、構成主義といわれることもある。
1950年代後半以降、この認知主義的な考え方にコンピュータをアナロジーとした情報処理という視点を導入したのが認知心理学ということになる。
認知心理学は、人間が知識を内的リソースして使いながら新しい情報を獲得し、それをまた組み込んで知識体系を再構築してくとみなす。
とくに、知識や文脈情報を利用して、予測や期待をもちながら情報をとりいれようとするトップダウン処理や、外部情報に意味やルールを見出して知識の構造化を図るのが、人間の知識獲得の大きな特徴といえる。

(2)受容学習と発見学習ー教えるのか、発見させるのか

外からの情報を受け取るという学習受容学習(receptive learning)という。
ただし、「受容」とはいえ、学習者はけっして受け身の姿勢で聞いているだけで習得できるものではない。
情報に含まれる意味内容を抽出するには、もっている知識を積極的に使ったり、ルールや構造をとりだしたり、というような能動的な処理が必要だからである。
行動主義における記憶実験が、意味内容をほとんど使わずに、無意味な音節や、ランダムな単語リストの機械的暗記を求めるものだったのに対して、認知主義に立つ記憶研究では、文章などの有意味な素材の意味内容を扱ってきた。
その中で、教育心理学者のオースベル(1960)は、本学習の前に、予備的な短いテキストを与えることによって記憶が促進されることを示し、これを先行オーガナイザー(advance orgaizer)と名づけた。
先行オーガナイザーには、本学習の概要にあたるものや、出てくる項目の比較対照など、いろいろな種類のものがありうるが、それが枠組みとなって後続する情報がその中にとりこまれていくというモデルを想定している。
これに対して、認知心理学者ブルーナ―学習者自らが仮説を立て、その検証実験を通して法則を見出していく発見学習(discovery learning)を提唱し、科学教育を中心に教育実践にも大きな影響を与えた。
発見学習においては、教師は結論にあたる知識を直接与えなく、問題発見や解決過程における支援と対話がその役割とされる。

受容学習発見学習はどちらも理論的な裏づけをもった指導法ではあり、それらを比較検討するような研究も1960年代に多く表れたが、もともとのねらいは大きく異なっていたことに注意する必要がある。
一定の時間に知識を身につけさせるには、受容学習のほうが効果的であるという研究結果が多い。
しかし、発見学習は、「測りにくい学力」にあたる問題解決力や自己学習力を獲得することをねらったものである。
それらの測定が難しいだけに、発見学習がどれだけ効果的なのか、また、どのような教師の関わりが有効なのかの実証的検討は、十分なされているわけではない。
なお、実際の教育場面では、教師がある程度の指導を行った発見学習(guided discovery)によって、時間的制約のある中で一定の結論に導かれるようにすることも多い。

(3)理解における視覚化

人間は、与えられた情報をそのままの形で保存するのではなく、何らかの解釈をして、その意味内容を記憶するものである。
情報処理の結果として蓄えられた知識内容を、認知心理学では表象(representationz)ということがある。
表象というのは、もともとは哲学用語で、ある対象についての視覚的イメージ(心像)をさしていたが、しだいに広い意味で用いられるようになった。
テキストなどの言語情報から新しいことがらを学ぶときに、そのイメージをはっきりさせるために、視覚化(visualization)してみることは有効である。
たとえば、数学の文章題を解くときに、問題文の状況を把握するために図や表にしてみることや、国語で説明文を読むことときに、その論理展開を流れ図にしてみることなどがこれにあたる。
教科書や教師が提示した情報も、その解釈が学習者に伝わっていなければ、理解されたことにならない。
学習者の表象、すなわち、理解状態を把握するためには、言語情報にしても、視覚情報にしても、学習者にそれがどういう意味なのかということを説明させてみることが有効である。
市川(2000)は、認知カウンセリングの実践の中で、教科書で習った概念、図式のもつ意味や構造、作図や解法の手続きなどを言語化(verbalzation)して説明することが、理解状態の明確化につながり、学習者本人にとっても教師にとっても重要であることを主張している。

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