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ラボラトリー方式の体験学習の観点から半構成的なグループ・アプローチ

ラボラトリー方式の体験学習の観点から半構成的なグループ・アプローチ

2.コンテントとプロセス

ラボラトリー方式の体験学習におけるコンテントとプロセスについての考え方をより詳しく説明していく。
コンテントとは、グループの話題や課題や仕事などの内容的な側面である。
プロセスとは、グループの中で起こっている人と人との関係的過程である。
別の言い方をすれば、コンテントとは、何(what)が話されているか、行われているかという観点でありプロセスとは、どのように(how)にはなされているか、行われているかという観点である。
例えば、「社員が夫婦共に仕事と子育てを両立できるために、当社で改善できることは何か」というテーマについて話しているとしよう。
そこで話し合われた、このテーマに関する問題点やその解決策、解決するためのステップなどというな話の内容は、コンテントである。
それに対して、グループの雰囲気は自由で、開放的なのか否か、どのように意思決定がなされたのかなどのグループのあり様、誰がよく話しているのか、お互いは話をよく聴きあいつつ、話し合いがなされているかなどのコミュニケーションのあり様、こじんの言動の特徴や心の中の思いや身持ちなどは、どのように話し合いがなされているのか観点であり、プロセスということができる。
星野(2005)は、グループプロセスとして以下の9点を挙げている。
①個々のメンバーの様子(参加の度合い、メンバーがグループに受け入れられているか、メンバーの感情)
②グループ内のコミュニケーション(メンバーの発言の仕方、発言のかたより、話しかける相手、メンバー相互のきき方、相互の指摘に関すること、コミュニケーションのレベル)
③リーダーシップのありよう(メンバーの役割のとり方、課題達成志向と集団の形成・維持志向という2つのリーダーシップ機能、メンバー相互の影響関係、リーダーが固定しているかどうか)
④グループの規範(ノーム)
⑤意志決定の型
⑥グループの目標
⑦時間管理
⑧仕事の手順化(組織化)
⑨グループの雰囲気
である。
グループでディスカッションしている時、私達はついコンテントばかりに目が向きがちである。
よいアイディアを出し、問題解決の方法を見いだすなど、コンテントに対する結果が求められる場合、コンテントに関心が向くことは、必要であり自然なことである。
しかし、課題(仕事)をもったグループでは、課題の達成はグループプロセスから大きな影響を受ける。
例えば、先に挙げた夫婦の仕事と子育ての両立についての会議において、男性ばかりが発言し、女性は意見を言えないというような状況、あるいは、ある職種や部署の女性は意見を積極的に言っているが、別の職種や部署の女性は意見を言えないというような状況があったとすれば、仕事と子育ての両立という課題に対して、それぞれの夫婦の多様なニーズにかなった話し合いがなされたということができるだろうか?
あるいは、この会議は単なる形式を整えるだけの会議で、結論を報告しても、実現しないだろうというノームが会議の構成メンバーの中にある場合と実現のために積極的に議論しようというノームがある場合(プロセス)では、作成されるプランの充実度(コンテント)は、異なってくるだろう。
先に、グループでディスカッションしている時、私達はついコンテントばかりに目が向きがちである、と記したが、例外もある。
もし、あなたが就職試験におけるグループ・ディスカッションの評価者であったとすれば、あなたは何を観ているだろう。
きっと、あなたは話し合いのコンテントの展開にしたがって現れ出てくる、個々の学生の特徴に目を向けているのではないだろうか。
個々の学生のコミュニケーションの特徴、リーダーシップ、協調性など個々の学生の能力や人柄などに目を向けているのではないだろうか。
もし、あなたが、キャリアコンサルタントとして、カウンセリングをしているとしたら、クライエントの何に関心をもっているだろうか?
話の内容(コンテント)にも関心を向けつつ、クライエントの気持ちや、クライエントの語る対人関係上の特徴や「今・ここで」クライエントがカウンセラーである自分との間で生み出している関係性のあり様などにも関心を向けているのではないだろうか。
これらのことも、あなたは、プロセスに関心を向けているというように理解できる。
そして、キャリアコンサルタントは、自分が感じとったことなどを適宜、クライエントに伝えることができる。
このように、コンテントだけでなく、プロセスにも関心を向け、それらについて気づいたことを相手や他のメンバーに伝えることを通して、コンテントプロセスの両方を深化させることが可能になる。

すると、半構成的なグループ・アプローチのファシリテーターはメンバーがコンテントとプロセスの両方に気づき、そこから学ぶことを促進する存在ということになる。
半構成的なグループ・アプローチの研修例を見ていこう。

この研修の一部として、実習「半構成的なグループ・アプローチ体験」を行った。
この実習のねらいは、半構成的なグループ・アプローチをファシリテーターあるいはメンバーあるいは、オブザーバーの役割から体験する、であった。

1グループは、ファシリテーター1名、メンバー4~5名、オブザーバー1名で構成された。
各グループでの話し合いの前に、講師から「半構成的なグループ・アプローチ実習」における、「ファシリテーション」と「観察」と「ふりかえり」のポイントが説明された。
その説明の概要は、以下の通りである。
①コンテントとプロセスの両方に関心をもつ
②コンテント(話し合いの内容)に関するいくつかの問いかけ
③プロセス(人間関係のの側面)に関するいくつかの問いかけ
④プロセスを観るポイント
である。
ファシリテーターはそれらの諸観点を意識して、話し合いに臨んだ。
オブザーバーはグループの話し合いに際して、コンテント、プロセス、それらに対する自分のコメントを観察シートに記した。

ファシリテーターから、話し合いのテーマとして、キャリア形成に関するテーマが提示され、そのテーマについて、メンバーやファシリテーターが話し合いをした。
ファシリテーターは、その話し合いにおいてメンバーの学びがより深まるように働きかけることが求められた。

各グループでの話し合い修了後、メンバーとファシリテーターは、話し合いのコンテントとプロセスの両観点に関する気づきをふりかえり用紙に記した。
そのふりかり用紙を基に、ファシリテーターの働きかけに関するフィードバックがなされた。
最後に、講師も含めた全体で、気づきのわかちあいを行った。

上記、研修例では、ファシリテーターもメンバーもオブザーバーもコンテントとプロセスの両方に関心を向けることができるように設計されている。
このように、ラボラトリー方式の体験学習の観点からみると、半構成的なグループ・アプローチでは、メンバーがコンテントとプロセスの両方に意識を向け、それから学ぶことが、重要になる。
そして、このような研修を通して、コンテントとプロセスの両方から学ぶ能力を向上させることは可能である。

そして、現場での話し合いの中で、あなたがメンバーとして、あるいは、ファシリテーターとして、その話し合いにおけるコンテントのプロセスの両方を深化させることも可能である。

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