スタッフブログ
blog

数学力を高める 1

数学力を高める 1

算数・数学は、つまずきやすい教科の一つである。
指導や支援を考える際には、学習者がどのように思考しているか理解することが不可欠である。
まず、これまでの数学教育と学力の現状を簡単に概観する。
次に、心理学で明らかにされてきた数学的問題解決の認知過程を説明し、これからの数学教育においてどのような指導や支援が必要か考えていく。

1.算数・数学教育と数学力の現状
(1)算数・数学教育の目的

2008年改訂では、「基礎的・基本的な知識・技能の獲得」、「見通しをもち道筋を立てて考え、表現する力の育成」「算数的活動の楽しさや数理的な処理のよさに気づくこと」、「生活や学習に活用する態度の育成」といった4つの下位目標の達成を「算数的活動を通して」図っていくことが打ち出された。
中学校、高等学校においても同様である。
現在の指導要領では、生活や学習に積極的に活用しようとする実質的陶冶的な教育と、論理的思考力や表現力を育成する形式的陶冶的な教育の両方について、バランスを取りながら行っていくことがめざされているといえる。

2)数学力の現状と課題

ここでは、2007年度から2010年度まで実施された全国学力・学習力状況調査について小学校算数を中心にみていこう。
調査問題はA問題とB問題によって構成されている。
A問題は主として基礎的・基本的な知識の理解を評価する問題群である。
B問題は学んだ知識を生活場面で活用できるような力を評価する問題群である。
2007年度の報告書では、「算数A(知識)について、児童の平均正答率が82.1%であり、相当数の児童が今回出題している学習内容をおおむね理解していると考えられる」、
「算数B(活用)について、児童の平均正答率が63.6%であり、知識・技能を活用する力に課題がある」といった見解を出している。
初回の調査結果が教育界の内外に与えた影響は大きく、「日本の子どもたちは活用力が弱い」、「これからの教育では活用力が重要である」との認識が一般社会や教育現場において急速に広まった。
背景には、ほば同時期に実施されたPISAなどの国際学力調査の影響もある。
そして、活用力の育成にとくに力を入れようとする傾向が強まっている。

子どもたちの活用力に課題がある点が主に強調されてきたが、A問題についても詳細にみていくと、いくつかの課題が浮かび上がる。
たとえば、2008年度から2010年度まで3年間連続で主題されてきた「割合」に関する問題をみてみよう。
正答率は、55.1、57.1、57.8%で、正答した児童は全体の6割に届かない結果となっている。
また、無回答率に着目すると、7.4、1.5、10.2%となっている。
回答形式が選択式で出題された2009年度を除くと約1割の子どもたちが解答用紙に何も書いていないという現状である。
他に2007年度から連続で出題されている問題に、四則混合計算の問題がある。
この問題の正答率は、69.1,71.1,66.3%で、正答した児童の割合が7割前後で推移し残り3割の児童は不正解となっている。
これらの結果から、子どもたちの学力の現状として、基礎的・基本的知識や技能についても決して十分であるとはいえないことがわかる。
また、こうした問題に関して、正答率にほとんど変化がみられないとういう点には、特に着目する必要がある。
つまり、これらの問題で測定されている学力に対する従来の指導やカリキュラムのありかたにも課題がある可能性を示唆している。

次回では、数学の学力を子どもの認知過程からとらえようとする心理学の枠組みを紹介し、つまずきの背景にある要因について考えていく。

お問い合わせはお気軽に!

ご不明・ご不安な点など、
何でもお気軽にお問い合わせください。

TEL: 093-981-0244 093-981-0244
営業時間: 10:00~19:00 不定休(カレンダー参照)