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数学力を高める 2

数学力を育てる 2

2.心理学からみた数学力とつまずき

心理学では、人間の数学的な思考や問題解決における認知過程と、個々の過程の遂行に必要な知識や認知的能力を具体的に明らかにしてきた。
数学力をどう定義するかは、いろいろな考え方があるが、そうした知識や認知的能力の集合体を数学力であるととられることもできるだろう。

(1)問題解決に必要な知識と認知的能力

算数・数学の文章題を解くには、まず初めに、問題文を読んで理解する必要がある。
次に、読んで理解した情報に基づいて、必要な式が立てられ、計算を実行して問題の解が求められる。
メイヤーは、問題解決における4つの段階を想定し、各段階の遂行に必要な認知的要素を整理した。
まず第一段階の変換過程では、学習者は一つひとつの文を言語的な知識や基本的事実に関する知識によって理解していく。
また、メイヤーでは明確に指摘されていないが、問題文の理解のためには数学的な概念知識が必要な場合も多い。
第二段階として、個々の文について形成された表象を統合し、問題状況を全体的に理解する段階がある。
この問題で重要な役割を果たすのが問題スキーマである。
問題スキーマとは、問題状況を理解するための枠組みのことである。
問題を解くことに熟達した人はそうでない人(初学者)よりも、精緻で豊かな問題スキーマをもっていることが明らかにされている。
問題スキーマ問題文の表面的な特徴が異なっても共通して適用することができるようなレベルで抽象化された知識といえる。
その一方で、割合とはまったく関連しない別の領域の問題(たとえば図形の求積の問題など)では、それに対応した別の問題スキーマが必要である。
そういう意味においては、問題スキーマは一定程度で領域固有的なものともいえる。

(2)問題解決段階のつまずき

(3)問題解決実行に必要な知識と認知的能力

第三の段階では、第二段階までに統合的に理解した情報をもとに解決のための方針が立てられる
ここで、公式や何らかの計算を適用すれば解ける見通しが立つ場合には、それらを適用して計算の実行段階に移る。
たとえば、「この問題は割合を求める公式を適用すれば解ける」と見通しが立てば、それぞれの構成要素と対応する数値を公式に代入して計算が行われる。
もし、ここで解決の見通しが立たない場合には、問題解決方略と呼ばれる問題を解決に導くための工夫が試みられる。
たとえば、「図や表などをかいて解決の糸口を探る」ことや、「求めるものは何かを考えさらにそれを求めたりするにはどうすればよいのかといった具合に逆向きに考える」などの工夫である。
こうした工夫は、ボリヤやシェーンフェルドなどにより、多くの問題に共通して使えるストラテジーとしてまとめられている。
算数・数学の学習場面では、いわゆる「応用力がない」ということが大きな悩みとして語られる場面が多い。
教科書や問題集で解いた経験のある問題は解けるが、あまりみたことのないような問題は解けないというものである。
しかし、いくつかの問題解決方略を組み合わせながら用いることことによって、自分の知っている問題スキーマが使用できる状態に近づけることができれば、解ける場合も少なからずある。
そうした力が応用力といえる。
最後の実行段階では解を得た後に、実行過程では、各種の演算を正確に実行するために手続き的知識が必要となる。
この場合には、被除数が除数よりも小さい場合の除法、つまり解が1より小さい数となる除法に関する手続き的知識が用いられる。
こうした知識を正確に運用することが最終的な正解を得る上で重要である。

(4)そのほかの知識や認知能力

ここまで段階ごとに必要な認知能力をみてきたが、問題解決のすべての段階に関わってくるのがメタ認知である。
メタ認知は、数学の問題解決においても、メタ認知の働きが不可欠である。
具体的には、問題文を読んでいるときに「自分は問題文の意味がわかっているか?」と自分の理解状態をモニタリングしたり、理解が十分でない場合には「もう一度読み返してみよう」と自分の認知活動をコントロールする必要がある。
こうしたメタ認知の働きを、問題解決の各段階において頻繁に繰り返し、推論や計算のプロセスが適切かどうか確認したり、その結果に基づいて活動に対する修正や変更が適切に加えられることで正解に到達することができる。
岡本(1992)は、数学的問題解決の得点が高い子どものほうが、こうしたメタ認知的活動をよく行っていることを明らかにしている。
また、「自分は、繰り上がりの数字を加えるのを忘れることが多い」など、自分の認知過程の特徴をメタ認知的知識としてもっていると、自分のミスを発見し修正できる可能性が高まる。
そのほかにも、言語情報、視覚情報、音韻情報の保持と処理を並行的に行うためのワーキングメモリや、言語的知能や数的知能に代表される知能などより基礎的な処理を担う認知的能力数学的問題解決の遂行に影響を与えていることも明らかにされている。
また、数学に関する信念的な知識(たとえば「数学には正解は1つしかない」や、態度、学習観の影響についても検討されている。

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