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科学的思考力を育てる 2

科学的思考力を育てる 2

2.科学的思考力の育成
(1)思考法の教授

科学的思考力を育てるには、どうしたらよいのだろうか。
こうした問題意識の下、心理学研究や教育実践において、さまざまな指導法が提案されてきた。
それらを概観すると、指導のポイントは、(1)思考の仕方を教えること、(2)適切に思考するための環境を整備することの2つであると考えられる。
まず、(1)思考の仕方を教えることであるが、教える思考法は、さらに2つに分けられる。
1つ目は、思考手順に関する知識や思考方略である。
たとえば、小林(2007)では、中学生が実験を通した課題解決に取り組む際に以下のように教授して、思考手順に関する知識を与えることを提案した。
「ある事柄について自分がどう考えているかに関係なく、客観的な事実が存在します。自分の考えが正しいかどうかを、客観的な事実と比べて確かめることが大切です。事実を集める方法として実験がありますが、実際は、無計画に行うのではなく、次の2つのことに気をつけて行う必要があります。2つのこととは、(1)自分の考えが正しいいか確かめるためには、どのような実験をしたらよいのか(証拠収集の計画)、そしてどのような結果が得られたらよいのか(予測)を考えて、実験をすること、(2)結果が得られたら、その結果をきちんとみて(結果の観察)、そこから自分の考えは正しかったのかを振り返る(結果の解釈)こと、です」
この思考手順の教授は、証拠の評価の難しさを克服することを目的としている。
具体的には、人には、自分がもっている考えの確証となる結果を好んでみようとし、反証となる証拠の解釈には失敗する傾向があった。
そこで、仮説と証拠それぞれに明確にする、その上で両者を照らし合わせる、といった思考手順を促そうとするものである。

教える思考法の2つ目は、思考結果の適切性を評価する基準である。
小林(2007)で教授された手順ー証拠収集の計画・予測・結果の観察・結果の考察ーに沿って課題解決を行い、何らかの結論が導かれたとする。
その結果は、(1)結果と不一致がないことはもちろんのこと、(2)他の多くの現象を証明でき、(3)その場しのぎの例外的説明を含まず(非アドホックで)、シンプルであり、(4)論理的一貫性があるほうが望ましい。
これが、科学的な観点からの評価である。
こうした評価基準を教授することはなるほど重要であり、実際に教授して有効であったという研究結果が示されている(中島、1997)

(2)環境の整備

科学的思考力を育てる指導のポイント(2)は、適切に思考するための環境を整備することである。
環境の整備の仕方も、さらに2つに分けられる。
1つ目は、協同という思考形態を導入することである。
この導入の効果は、先述の「思考結果の適切性を評価する基準の教授」と重なる部分が多い。
協同で考えるという状況においては、ある一人が出した考えを、他のメンバーが外から眺めて、問題点を指摘したり、修正したりすることができやすい。
このような思考の見直しは、思考を一段高いところからみているようだという比喩で「メタ認知」と呼ばれる。
メタ認知は、一人で試行する際にも働くべきものであるが、自分の欠点は自分では見つけにくい。
したがって、他者に助けてもらうことのできる協同場面のほうが、十分に機能するという。
こうした効果から、科学的思考を行う際に協同させると、思考効果の適切性を評価しやすいというわけである。
この効果について、自覚的な場合もそうでない場合もあるが、心理学研究において指導法を提案する際や、教育実践においては、科学的思考を行う際に協同を導入することが多い。

2つ目は、他者以外の外的リソースの導入である。
近年では、コンピュータの利用が多くみられる。
たとえば、中学2年生を対象に、コンピュータ上で実験し、結果が自動的に記録されることで、誤差をうまく扱えずに、結果の処理やひいては解釈に失敗するなどの問題を克服することができる。
近年では、CSCL(Computer-Supported Collaborative Leaning)という、コンピュータを利用して協同学習を支援するシステムを開発し、それを実際の学習場面へ導入する研究も行われている。

以上が、科学的思考力を育てる指導のポイント(2)適切に思考するための環境の整備の具体である。
協同その他の外的リソースを導入することにより、先に述べた指導のポイント(1)思考の仕方の教授と同様の効果を目的としていることがわかる。

参考
仮説評価スキーマの教示
❶自分の考えが正しいかを調べるためには、どのような実験をしたらよいか。どのような結果が得られたらよいかを考える。

❷結果をきちんと見て、そこから自分の考えは、正しかったのかを振り返る。

 

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