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影響力の武器 2

影響力の武器 2

(3)社会的証明の原理

社会的証明の原理とは、他者が正しいと考えているであろうことに基づいて、人が物事の正しさを判断するということである
緊急事態が生じた際に、傍観者が多い場合に少ない援助よりも援助行為が抑制される現象も、傍観者が多いことで責任が分散するということによって説明されるとともに、社会的証明の原理でも解釈が可能である。
すなわち、他の人が大騒ぎをしていないのだから緊急性はないのだろうと判断されてしまうのである。(集合的無知)
さらにウェルテル効果と呼ばれる現象も社会的証明によって解釈可能と考えられている。
こうした社会的証明の原理状況が不確かなときや、人が自分の取るべき行動に確信が持てないときに働きやすい
また類似した他者の行動に対して生じやすいと考えられる。

(4)好意の原理

好意の原理とは、好意を持った相手からの要求を受け入れやすいということである。
好意が高まる要因の1つとして身体的魅力が挙げられる。
それでは、なぜ身体的魅力が好意を高めるのであろうか。
ハロー効果とは、ある側面で望ましい特徴を持っていると、他の側面も望ましいので優れていると考えられる現象である。
人事採用の模擬面接場面を用いた研究では、面接者自身にはそうした自覚はなかったものの、応募者の身だしなみの良さが仕事に必要な資格の有無よりも採用決定に大きな影響を与えていた(1990)。
就職活動のためのセミナーに、マナーや服装に関する指導、さらに髪型や化粧法の指導までも含まれたものがあることも、短い面接時観にどれだけ好印象を与えられるのかということに、外見の要因が重要であることを知る人が多いためだろう。
好意の原理を引き起こす要因の2つ目として考えられるのは類似性である。
関心や趣味、経歴など、さまざまな側面において私たちは類似した他者を好む傾向がある。
たとえば営業担当者が顧客の趣味などを聞き出し、それに合わせた話をしながら相手の心をつかむといったことは基本的なテクニックといえよう。
私たちは類似した相手からの説得を受け入れやすいため、たとえば広告においても一般の消費者を登場させて商品の効能を語らせるといった手法もよく用いられる。
称賛もまた、相手への行為を高める要因の1つとしチャルディーニは述べている。
確かに他者から好意的な評価を受けたとき、人はその好意に対して返報しようとする。
それが相手からの要求に応えることであっても応じてしまうのである。
このメカニズムは先に見た返報性の原理で説明可能であろう。
他にも好意を高める要因として、チャルディーニ接触協同を挙げている。
私たちはよく会い、接触回数が多い相手に対して好意や抱きやすい。
それは単純接触効果として検討されてきたことである。
繰り返しの接触によって刺激の処理効率が高まり、生じた親近性が刺激の好ましさに誤帰属されるためにこうした効果が生じると考えられている(1992)。
協同に関する研究として有名なのは、シェリフらがサマーキャンプにおいて行ったフィールド実験である(1988)。
2つのグループ間にライバル意識を持たせることで不和を作り出したあと、協同して取り組まなければならない課題を通じて大きな共通目標を持たせた。
協同作業の結果、対立していた相手集団との親密性が高まり、お互いを仲間と認め合うようになった。
ある対象への効果は、他の対象に連合されることがある。
こうした効果を広告やセールスに結ぶつける試みが多くなされていることはさまざまな場面で明白である。

(5)権威の原理

私たちは権威を持つ人や専門家の意見に従いやすい。
実際に従ったほうが良い方法を学べたり良い選択ができたりすることが多いからである。
しかし、権威者の指示が不適切と思わせるような場合でも従い過ぎてしまう場合がありこと、また権威者のふりをした人の言うことにも従ってしまう場合があることである。
1つ目の問題は、ミルグラムが行った服従実験がある。
2つ目の問題は、シンボルを身に付けるだけで、実際にはそうでないのに権威者のふりをして人を誘導することが可能になるのである。

(6)希少性の原理

限定品や残り少ない商品と聞くと、その価値が高いように感じる。
あるものを手にすることができないかもしれないという損失である。
不確実な状況では獲得に比較して損失をする可能性は意思決定に大きな影響を及ぼすため、損失を強調することとは説得の送り手にとって効果的なのである。
また、対象を買おうとしても手に入れることができないかもしれないという可能性は、購入するかどうかどうか決定できる自由を失うということを示す。
自由が制限されるときには心理的リアクタンスが生じるため、私たちは自由を回復させようとしてその対象を強く臨むようになるのである。
制約を受けたり、禁止されたりされればされるほど、対象の価値が高まるというのは私たちがよく日常で経験することであるが、希少性の原理にもこうしたメカニズムが働いているのである。

これまでチャルディーニが検討した6つの原理に関して見てきた。
これらは私たちの想定を超えた影響力を行動に及ぼしており、そのことにしばしば私たち自身が気づいていないことも検討された。
それでは、こうした影響力に抵抗するためにはどうしたら良いのだろうか。
実際に、私たちは必ずしも「限定品」に飛びつくわけではないし、いつでも「権威者」の意見を受け入れているわけでもない。
この点に関しては、情報処理の二重過程モデルにおける自動的処理統制的処理に関して知る必要がある。
チャルディーニ”カチッ”とボタンが押されるとその場に適したテープが”サー”と回り出して一連の行動が表われるという表現自動的反応(処理)を説明する。
こうした自動的反応好意や権威の対象、また対象の希少性という単純な手がかりによって引き起こされる。
対照的に統制的な処理とは、注意深く分析しようとする動機づけと能力(認知的容量)がある場合に働きやすく、この場合には”カチッ・サー”は起こりにくい。
この2つの処理方略の働きについて、大学生を対象とした実験が行われた。
実験参加者にはまず卒業試験導入の説得メッセージを聞かせたが、その際、半数の学生には試験の導入時期が翌年と告げ(関与高条件)、残り半数には10年以内と告げた(関与低条件)。
メッセージについても半数の学生には高等教育専門委員会のレポートであると告げ(権威高条件)、残りの半数には地方高校のレポートと告げた(権威低条件)
試験導入に関する態度を調べたところ、翌年の導入を提案された学生はメッセージの書き手によって態度の違いは見られなかった。
他方、10年以内の試験導入を提案された学生のうち権威高条件は権威低条件よりも賛成の態度を示した(1981)。
メッセージについてよく考える動機づけが高い場合には、権威という単純な手がかりの影響は見られないが、低い場合には”カチッ・サー”と権威に反応してしまったのである。
この研究からわかることは、もし影響力を受けそうな手がかりに接したときには、それが大切な決めごとであり、考える時間があるのなら、手がかり以外の要因も考慮しながらどういった行動を取るべきかよく考えてみるということである。
ただし、このことは自動的反応のすべてが悪いということを意味するわけではない。
私たちは何かに対して簡便な反応をすることで、もっと重要なことに注意を向けることができるし、非意識的な判断過程が適応的な場合もある。

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