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スヌープ! 2

スヌープ! 2

2.研究、本の内容の紹介
(1)人を理解するための3つのレベル

人を深く知るためのレベルとして、マカダムスは次の3つを挙げている(1995)
最初は特性であり、これを用いると効率よく最初の読みができるという。
この特性とは、いわゆる”優しい””快活な”など人を説明するときなどに一般的に用いられる表現のことである。
2つ目は、個人的関心事、3つ目はアイデンティティである。
アイデンティティとは”過去に起こったことと現在の自分を理解するため自分が語っている自分の物語”である。
この物語は真実である必要はないという。
ゴズリングの研究をこの3つのレベルに即して説明すると、研究対象とする人の日常生活の場から個人的関心事アイデンティティを推測し、特性(パーソナリティ)を明らかにしようとする試みといえるであろう。

(2)スヌーポロジー

ゴスリングの研究は、部屋をのぞく(スヌープする)ことから開始された。
研究の過程で、その人を深く知るため部屋に残される手がかりには3つの物があることが明らかになっている。
1つ目は、アイデンティティ・クレイムと呼ばれるものであり、人にどう思われたいのかという他者に向けた自己主張と、自己に対する見方を強化するため自分に向けた自己主張の双方を含む。
来客のほうを向いていれば、家族との結びつきを大切にしてる自分を他者に対して見せるのが目的であるのに対し、自分のほうを向いている場合には、孤独感を払いのけることで仕事の生産性を向上させようとしていることを示す。
2つ目は感情レギュレーター(感情を調整するもの)であり、音楽や啓発ポスターなどがそれらの手がかり例として挙げられている。
これを手がかりとする根拠は”人は環境をつくり出して、感情や思考をうまく操る”という主張である。
著者も述べているように、音楽は心理学実験においてしばしば感情(気分)操作の刺激として用いられる。
すなわち、実験参加者を良い気分もしくは悲しい気分にさせるために、そうした感情状態を導出する音楽を聴取させるのである。
音楽による感情操作の妥当性に関してはこれまでも他の研究で明らかにされており、日常生活における人の感情調整の試みとも一貫している。
3つ目は、行動のかすとして取り上げられる手がかりである。
この手がかりが人のことを知るために重要であるのは、人は捨てたアイテムを意識しないため、そのアイテムを印象操作に利用しないこと、また捨てられたアイテムは人がしようと思っていることではなく、その人が本当にした行動を反映するためである。
既に行われたことだけではなく、これから行おうと考えていることと、その違いを探ることも重要な作業である。

これら3つのメカニズムは互いに独立しているものではなく、1つの手がかりに複数のメカニズムが働くこともあるため、手がかり(情報)の解釈の方法を学ぶ必要があると著者は主張する。
そのために、パーソナリティ特性をグループ分けした枠組みであるビッグ・ファイブが取り上げられ、紹介されている。
ビッグ・ファイブとは、パーソナリティの5因子、すなわち”経験への開放性””誠実性””外向性””調和性””神経症的傾向”における得点パターンによって人の特性を示す。
ビッグ・ファイブのモデルは、それまでパーソナリティ研究で用いられていた構成概念を組み込んだものであり、人の特徴を理解するための統合された枠組みとして現在もっとも用いられるといえるだろう。
ただしマカダムスが言うように、人が理解するにはこうした特性のレベルでは不十分であり、その人の目標や欲求、夢、希望などの深い部分に関して知る必要があるとゴズリングは述べる。
心理学研究では、絵画物語課題(PSE)のような投影法により、課題への反応からその人の人物像を明らかにしようとする検査が用いられる。
顔とパーソナリティの関係の理由として、ゴズリングは以下のように考察する。
生物学的な要因、すなわちホルモンがパーソナリティと顔の特徴に影響を与えること、また行動の仕方と自己評価が関連していること(たとえば外見の魅力の高さと自己評価の高さなど)、また表情がしわになるなど”行動のかす”が顔に残されるという理由である。
さらに行動とパーソナリティを結びつけるだけでなく、持ち物と持ち主のパーソナリティを人が結びつけることも明らかになっている。
また、日常会話を分析した研究では、パーソナリティと言葉の使い方について知見が提出されている(1999)。
日本でもメールアドレスに用いられたユーザーネームと持ち主のパーソナリティにも関連があることが見出されている(2005)。
研究では、特にビッグ・ファイブ外向性開放性の次元において本人、友人、第3者間の性格評定が一致した。

(3)自己呈示の可能性

ゴズリング自身も研究知見における自己呈示(self-presentation)の可能性に関して論じるものの、日常生活を送るスペースをすべて見せかけの自己呈示でつくりあげることはできないと述べている。
つまり他者へのアイデンティティ・クレームのために意識して物を置くことなどは可能であるが、”行動のかす”のような意図して行っていない行動の結果から、本来のパーソナリティはスヌープできるというのである。
この論点を基盤として、面接やパーソナリティ質問紙などによってパーソナリティを知ろうとする従来の方法よりもスヌーポロジーの有効性を主張している。
ゴズリングはさらに自己確証理論、すなわち人が自己評価と一致する他者評価を求めるとする理論を引用し、必ずしも人は自己像以上によく見せようとするわけではないと述べ、スヌーポロジーの有効性を主張している。
しかしながら、先に挙げた研究知見(1998)にあるように、自己像以上によく見せようとしないのは自尊心が低い群の参加者であり、自尊心の高い参加者はやはり望ましい方向に歪めて自己呈示する可能性を否定するものではないだろう
ゴズリングは以上のことから、スヌープする際には情報の一貫性や、印象を変えたい動機、パーソナリティを隠そうとした跡の有無に注意することや、相手の予測を超えた場所などから見ることなどをアドバイスしている。

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