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自分を知り、自分を変える 2

自分を知り、自分を変える 2

(3)無意識的過程の優先順位

無意識的過程が”適応的である”と言うためには、第一義的にはそれが周辺世界から受信する情報を速く正確に分析、評価できることが求められるだろう。
適応的無意識に基づく判断は意識的な判断よりも、ずっと正確である場合が数多くある。
ただし、分析すべき情報は山のようにあるため、正確さだけを求めて、あらゆる情報を分析することは難しく、情報に優先順位をつけることも必要である。
実際のところ、適応的無意識は、いくつかの規準を設けて情報の選択を行っているようである。
1つは自己との関連である。
たとえば、大勢の人が話をしている賑やかな場所で、Aさんと会話をしていても、遠くでBさんが自分の名前を口にすると、途端にその声が耳に入ってくる。
自覚的には、それほど遠くの会話に耳を澄ましていたという意識はないにもかかわらず、それが聞こえてくるのは、適応的無意識が多くの情報の中から、自己に関連した情報を優先的に処理するためと考えられる。
しかし、ここでより考慮すべきは、アクセス可能性と呼ばれるものである。
これは記憶内に貯蔵されている情報への接近(アクセス)のしやすさのことである。
自己に関連する情報は記憶内で活性化されやすいため、アクセス可能性が高く、周辺情報を選択したり、解釈したりする際に利用されやすいと考えられている。
ただし、アクセス可能性は、ある情報のどれが自分に関連しているかだけでなく、どれくらい最近にその情報に触れたかということによっても左右される。
自己に関連していない情報であっても、それが最近触れた情報に関連したものであれば、より注意が向いやすかったり、利用されやすかったりするのである。
また過去に繰り返し利用されてきた情報は、慢性的にアクセス可能性が高い状態にあるため、利用されやすい傾向にある。
さらに本書でより注目されるのは、「良い気分」基準と呼ばれるものである。
これは、人は「自分に最大の喜びを与えるように世界を見ようとする」というもので、ときに正確さやアクセス可能性よりも優先される。
すなわち、周辺環境からやってくる膨大な情報を処理する際、自分に良い気分を与えるような情報が選択的に処理されたり、情報が自分に都合よく解釈されたりすることがあるということである。
適応的無意識スピンドクターといえるのは、このような理由によるものだ。
すなわち適応的無意識は、自分自身の利益に供するためのスピンドクターとして機能しうるのである。
ウィルソンは、ダニエル・ギルバートとともに、このような機能を「心理的免疫システム」と呼んでいる(2000)。
私たち人間は、身体的健康を脅かすものから自分を保護する身体的免疫システムを持っている。
それとちょうど同じように、心理的健康を脅かすものから自分を保護する心理的免疫システムを持っているわけである。
正確さを追究するよりも、自分(自尊感情)により都合の良い情報を選択、解釈したほうが、心理的健康に良い場合があることは、ポジティブ・イリュージョンの例をみるとよくわかるだろう。
また認知的不協和の解消のための合理化も、「良い気分」基準に基づく、情報の解釈過程とみなすことができる。

(4)意識と無意識の乖離

適応的無意識は広範囲にわたって役割を果たす。
素早く、効率的に情報を集め、解釈、評価し、具体的な行動に向けて目標を定めるのは、多くの場合、適応的無意識によるものである。
しかし、適応的無意識の働きは、そのとおり、通常、意識化することはできない。
そのために、本書で取り上げられているパーソナリティ原因の推論(原因帰属)態度感情といった人間にとって重要な心的機能において、適応的無意識と意識との間に乖離が生じたり、自らの心の働きに関する見積もりを誤ったりする場合がある。
このように、意識と適応的無意識との間にはしばしば乖離があり、ときに意識的に望んでいないことを適応的無意識が行っている場合もある。
にもかかわらず、私たちは自分の思考や行動を意識的にコントロールしていると感じている。
たとえて言うなら、飛行機が自動操縦で飛行しているにもかかわらず、パイロットが自分で操縦していると思っているようなものである。
しかし私たちは、本来意識化できないはずの適応的無意識の働きに基づく判断や行動に対しても、意識的にもっともらしい説明をつけて納得をしたりする場合がある。
ウィルソンが、リチャード・ニスベットと行った実験では、大型スーパーにテーブルを置き、「消費者評価調査」として、4足のパンティ・ストッキングの中からもっとも品質がよいと思う商品を通りがかりの客に選んでもらった。
その結果、右に置かれた商品ほど好まれる傾向にあったが、実際にはいずれのストッキングもまあったく同じものであった。
にもかかわらず、なぜそれを選んだかと問うと、たいていの人が編地の良さや透け具合、伸縮性などを理由に挙げ、ストッキングが置かれた位置に言及した人は誰もいなかった。
また、位置が影響していると思うか、直接的に尋ねた場合にも、ちょうど心理学でそのことを学んでいたという学生を除いてそれを断固として否定した。
このように適応的無意識が行う判断を意識化することは難しく、さらには無理に意識化をしようとすると、かえって適応的無意識の働きが妨げられ、適切な判断ができなくなることもある。
ウィルソンは、5種類の美術ポスターを用意し、それぞれのポスターの好き嫌いの理由について、実験参加者に事細かに分析させたのち、家に持って帰るポスターを1枚選ばせた。
別の参加者にはこのような理由分析をさせずにポスターを1枚持って帰らせた。
2週間後、それぞれの参加者に満足度を尋ねたところ、理由を分析せず、おそらく直感に基づいてポスターを選択した参加者のほうが、自ら選んだポスターに満足していた(1993)。
ただ、直感が常に正しい判断をするわけではない。
適応的無意識働きは過去の経験と、その判断に利用される情報によって左右される。

(5)自分を知り、自分を変える

理由分析の弊害は、個人的問題を考える際にも表れる。
悩みを反芻して、その原因について繰り返し考えることは、事態をますます悪化させ、否定的で自滅的な思考パターンに陥らせることが多くの研究で示されている。
特に抑うつ状態にある場合はなおさらである。
一方で、個人的問題を書くという行為によって開示する場合、それは心理的健康に有益な効果をもたらす。
反芻にせよ、開示にせよ、いずれも当事者にとってはつらい経験のはずである。
にもかかわらず、両者がもたらす影響に違いが見られる理由について、ウィルソンは、書くという行為は、否定的な出来事を説明するためのつじつまの合った物語を作り上げ、そこに意味を見出すのを助けるために効果的なのだと説明している。
つまり理由分析によって、結局は意識化することができない自らの判断や行動の原因についてあれこれと推測を重ねるより、実際に起こったこと、行ったことに対して新たな物語を描くほうがよほど生産的だというのである。
ウィルソンは、心理療法についても、クライエントが療法家の力を借りて、以前に自分が作り出したよりも、もっと良い自己の物語を作るプロセスだと説明している。
ただし、自己物語は単純な意味で正確であるべきだという。
すなわち、それはまったくの創作ではなく、その人の適応的無意識に対応づけられる物語である必要があるという。
その場合、自己の物語を作るための手がかりとして、「内部情報」だけでなく、「外部情報」に頼ることも重要だ。
外部情報のほうが、自分をよりよく知る上で有用な場合すらあるためである。
ここで言う外部情報とは第1に、心理学に関する知識である。
ウィルソンによれば、それを得る良い方法は他者の目を通して自分を知るということである。
私たちの自己認識はしばしば他者の認識と異なっている。
たとえば、自分は内向的だという人が、友人から見ると一向に内向的に見えないということはよくあることだ。
このような場合、たとえ自分のことであっても、自己認識のほうが正しいとは限らない。
したがって、自分に対する他者の反応を詳細に観察することは、自己を知る有効な手段になりうる。
チャールズ・クーリーは、このようにして形成される自己概念を「鏡映的自己」と呼んでいる(1902)。
他者をあたかも自分を映す鏡かのようにみなすことで、そこに映った自己像をもとに自己理解を進めることができる
最後にウィルソンは、自分の本質を知るには、自分の行動を自分自身で観察することもまた有効な手段だと提案している。
かつてダリル・ベムは、人が自分の心の状態を知るプロセスは、他者の心の状態を推測するプロセスと本質的に同じだとする「自己知覚理論」を提唱した(1972)。
わたしたちは、他者の心の中を直接見ることはできないため、他者の感情パーソナリティ推測する際には、外部に表出される行動をもとにそれを推測する。
実は、これと同じことを自分についてもやっており、第三者が観察するように自分の行動を観察することで、自分の感情やパーソナリティを推測しているというのである。
これはやや極端な主張であり、のちにベムは外部から行動を観察しなくても、自分自身の心の状態がわかる場合があることを認めている。
しかしここまでみてきたように、意識化できない心の部分が、私たちが思っている以上にあるのであれば、ときには第三者的な視点で意識的に自分の行動を観察し、そこから自分を理解することも有用である。
私たちは、自分の適応的無意識の一部を、自分が理想とするように変えることができるのだろうか。
ウィルソンは、それは可能であり、自分を変えたければまずは”行動を変える”ことが必要だと言う。
ひと言で言えば、「良いことをすればよい人間になれる」ということだ。
これはあまりに単純な方略に聞こえるかもしれないが、行動を変えればそれを実践するスキルが身につくとともに、行動が習慣化し、特別な努力や注意を必要とすることなく、行動ができるようになる。
そして何よりも、行動を変えると、その行動に基づいた新たな自己物語が作りやすくなり、自己知覚によって自己像(自己概念)も変化するという。
ウィルソン自身も、自分の内向的性格を変えるため、社交的な場で意識的に初対面の人と話すことを心がけることにより、それが習慣化し、次第に外向的な性格へと変化していったという。
したがって、「自分について考えすぎるかわりに、自分の行動を変化させようと試みるべきだ」というのが、ウィルソンからのアドバイスである。

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