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それでも人は、楽天的な方がいい 1

それでも人は、楽天的な方がいい 1

1.研究の展開と現状、社会心理学における位置づけ

本章では、シェリー・テイラー『それでも人は、楽天的な方がいい:ポジティブ・マインドと自己説得の心理学』について取り上げる。
社会の中で生じる事象の意味を推測する行為は「社会的推測」と呼ばれ、社会心理学では、「社会的認知」の領域で主に検討が進められてきた。

そして、1950~70年代にかけて提案された推進論過程に関する理論の多くは、人が、正確で合理的な推論を行う努力を惜しまない「しろうと心理学者」のように振る舞うという仮定を前提に考案されたものが多い。
つまり、社会的事象について推論を行う必要性が生じたとき、現実の姿を正確に捉えるために関連する情報を組織的に集め、そこから論理的な推論を行うのが本来の人の姿をだと考えられてきた。

しかし、その後の研究の結果、私たちが社会的事象を解釈する方法は必ずしも合理的ではなく、特有の歪み(バイアス)を示しやすいことが明らかになった。

テイラーはそれらのバイアスの中で、人が自分に関係した事象の意味を現実より楽観的に解釈しがちな傾向に着目し、「ポジティブ・イリュージョン(positive illusion)と名づけた。

なお、テイラーの目的は「ポジティブ・イリュージョン」のような楽観的なバイアス一般の人の間に広くみられるという主張を行うことではなく、そのようなバイアスが私たちの心身の健康の維持・促進に大きく貢献していることを実証的に示すことであった。

つまり、認識は現実を正確には捉えていないかもしれないが、そのようなバイアスがあることでむしろ社会の中で適応的に生きていくことができるというのテイラーの主張のポイントである。

そこで、本章ではこのテイラーの主張にそって書かれた著書(『それでも人は、楽観的な方がいい』)を取り上げ、「ポジティブ・イリュージョン」の詳しい内容に触れながら、そのようなイリュージョンを持つことが人の社会的適応および心身の健康をに及ぼす影響を説明する。

その上で、社会心理学の基礎的な知見を、社会的適応および心身の健康の問題と結び付けていく応用的な取り組みの現在について紹介する。

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