スタッフブログ
blog

オープニングアップ 2

オープニングアップ 2

3.その後の研究の展開と現状、他の研究との関連
(1)開示がもたらす効果の全体像

自己開示に関する研究は、ペネベーカーの著書(『オープニングアップ:秘密の告白と心身の健康』)が出版された後も盛んに行われており、研究対象も広がりを見せている。
そこで、さまざまなかたちで実施された開示研究を集めて、統計的手法により統合し、全体としての効果の大きさを推定するメタ分析が行われるようになった。
開示研究に関するメタ分析の結果はこれまでに何度か報告されているが、より大きなものとしては1986年から2004年までに公表された146件の実験研究を対象にしたメタ分析が挙げられる(2006)。
この分析の結果、自己開示は、
①幸福感などの心理的健康
②免疫などの生理的機能
③認知や社会行動などの総合的な機能
④自主報告されて主観的な健康状態
⑤開示を行ったことに対する肯定的な評価の5領域においてポジティブな効果を持っていた
ただし、メタ分析で得られたこれらの効果は大きいものとはいけない。
そのため、1日15分~④5分程度の開示を3~5日つづけることで、心身の健康に大きな改善が見られると期待するのは早計だろう。
また、ストレス経験の開示は、短期的にはネガティブ感情や思考を増加させる可能性も指摘されている(2004)。
よって、自己開示は、心身ともに健康な人が利用できる要望的な健康管理法の1つであると現時点では理解されている(1997)。

(2)開示の効果を調整する変数

開示に関する研究が増加するにつれ、全体としての効果の大きさを推定するだけではなく、開示の効果が生じやすい条件も検討され始めた。
そして、メタ分析の結果、参加者の特徴や開示を行う状況(場所、方法、内容)の違いが、開示の効果の強さを調整している可能性が示されている(2006)。
まず、参加者の特徴についてみると、性別、年齢、人種、教育レベルの違いは効果の大きさには影響していなかった。
しかし、開示の時点で身体的健康度が低かった人、高いストレスを経験していた人、悲観主義の人のほうが、開示の効果がより高くみられた。
このように、非臨床の範囲内の悪い状態にある人を、元の状態に戻すのを助ける開示にはあるのかもしれない。
開示を行う名所については、個室のほうが開示の効果がより大きく、実験室より自宅で強い効果が見られた。
これはプライバシーが守られている交換では、参加者はよりリラックスでき、開示に集中できるためだと考えられている。
開示方法については、3回未満より3回以上、1回15分未満よりも15分以上の開示で、より大きな効果が見られた。
開示の手段(手書き、タイピング、口頭)は、効果の大きさに影響していなかった。
開示する経験の内容については、より最近(15か月未満)に起こった経験について開示した場合に、より大きな効果が見られた。
一方、開示する経験の感情的性質(ネガティブ・ポジティブ)は効果の大きさに影響を与えていなかった。
これは、参加者にポジティブな内容の開示を求めた場合も、ネガティブな内容と同等の開示効果が得られることを示唆する結果である(2001)。
そして、このメタ分析の結果は、比較的に短い期間(1か月未満)の内に、ネガティブな効果よりポジティブな効果のほうが優勢になることを示している。
同時にこの結果は、開示によって生じたポジティブな効果は永続するわけではなく、ある程度の時間が経つと次第に薄れていくことを示すものである。

(3)開示の効果が生じるプロセス

開示研究に関するその他の展開として、開示の効果が生じる理由を明らかにする試みも盛んに行われている(2006)。
私たちはストレスを経験したとき、それがもたらす脅威や苦痛をなんとかして取り除きたいと考える。
このときに,私たちが意識的に行う認知的・行動的な努力を「対処(コーピング)」と呼ぶ。
この対処は、問題焦点型と、感情焦点型の対処に大きく分けられる。
問題焦点型の対処とは、ストレスをもたらす状況や相手を直接的に働きかけるもので、問題自体を変化させることを目的としている。
一方、感情焦点型の対処は、ストレスをもたらす状況や相手には働きかけず、自分の中に生じた不快な感情(不安、抑うつ、イライラなど)を鎮静化させることを目的としている。
なお、自分の中に生じた深合な感情に働きかける「感情焦点型の対処」に分類される対処法にはさまざまな種類が存在するが、ストレス経験について考えないようにする、
(a)「抑制型の対処(思考の回避など)」やストレス経験に積極的に向き合おうとする。
(b)「促進型の対処(再評価)などは、日常生活の中でもしばしば使用されている代表的なものである。
しかし、(a)「抑制型の対処」については、近年、その弊害の大きさが指摘されるようになってきた(2002)。
その理由として、第1に、抑制型の対処は、ストレス経験やそのときの感情に対する理解を深めて認知を再体制化する機会を奪うことが挙げられる。
第2に、生理的・心理的な馴化が生じる機会を奪うことが挙げられる。
以上のことから、自分が経験したストレスとそれに伴う不快感情が未解決のままに残りやすい。
このような未解決のストレス経験は、不随意な思考として意識に上がりやすい傾向を持つ(1975)
また、こうのような不快な思考や感情について考えまいとすればするほど、その思考や感情がますます意識上に侵入しやすいという悪循環が生じる(1994)。
そして、この不随意の侵入思考を強制的に意識から追い出そうとすれば多くの認知的努力が必要になり、この努力は現在進行中の課題に割かれるべきワーキング・メモリの容量をさらに圧迫する。
このように、抑制型の対処は、ストレス経験に対する認知的・感情的処理をさまざまなかたちで停滞させ、認知や感情の制御をより一層難しくさせる方向に作用する。
その結果、ストレスに対するネガティブな評価が持続し、ストレスの慢性化が起こる(2006)。
つまり、心理的健康が低下した状態になる。

一方、同じ感情焦点型の対処でも、ストレス経験と向き合い、認知的な洞察を深める(b)「促進型の対処」は、ストレス経験に対する認知的・感情的処理をうながすことで、ネガティブな認知や感情の制御も容易にする。
その結果、ストレスの慢性化が止まり、過度な生理的な緊張も解消される。
このような複合的なプロセスにより、長期的に見ると心身の健康および社会的適応状態に改善が見られる。
つまり、自らのストレス経験を語るという自己開示は、促進型の対処をうながすきっかけになることで、結果的に心身の健康および社会適応を改善させる力を持つと考えられる。

(4)開示研究と関わりが深い領域と今後の方向性

「過去のストレス経験を開示せずに抑制し続けていることが、現在の体調不良の原因ではないか」という仮説から出発したペネベーカー自己開示研究は、さまざまな領域の研究知見を幅広く取り入れながら現在のかたちまで発展してきた。
自己開示研究の今後の方向性としては
❶開示及び抑制という対処行動が心身の健康に影響するメカニズムや条件をさらに明確化する
感情心理学、認知心理学、生理心理学、健康心理学の知見が不可欠になる。
特に、感情心理学および認知心理学の知見は自己開示の心理的メカニズムと、生理心理学および健康心理学は生理的メカニズムとの関連が深い。
また、健康心理学の領域には、ストレスに対する評価および対処行動についての知見が数多く蓄積されており、ストレスと自己開示の関係を考えるときの必須事項となっている。
❷開示という対処行動を、臨床場面に適用可能な1つの治療技法として確立する
臨床心理学の知見が鍵になるだろう。
開示という対処行動によりストレス経験に対する認知が変容することが、心身の健康の改善にとって重要であることがこれまでの自己開示研究で明らかになっている。
この知見は、臨床心理学の主要な心理療法の1つである認知行動療法の考え方に通じるものである。
❸人が開示という対処行動を行うことの意味を、双方向的コミュニケーションの文脈の中で改めて捉え直す

社会心理学の知見が関係してくる。
開示実験の多くは、開示相手の存在を明示せずに開示を行うことを求めていた。
しかし、私たちが日常生活で行う自己開示には、通常、特定の開示相手が存在している。
また開示を双方向コミュニケーションの文脈の中で捉えるならば、開示者の気持ちに加え、開示相手の気持ちにも注意を向ける必要があるだろう。
他者から開示を受けたとき、うれしいと感じることもあれば、負担に感じることもある。
このように自己開示という行動の生起頻度やその効果は、開示者の気持ちだけで決まるものではない。
ペネベーカー自己開示実験は、開示者側のみに焦点を絞ることで、自己開示という行動が持つ潜在的な効果を明らかにしたという点で大きな意義を持っていた。
今後は、双方向コミュニケーション行動の一部であるという視点から、日常生活の中で生じる自己開示行動を改めて捉え直していく試みも必要になるだろう。

福岡県 北九州市 飯塚市 直方市 飯塚市 宮若市 田川市等の筑豊地区のキャリアカウンセラー実施 キャリア研修 中小企業支援 研修講師 部下育成 メンタル不調予防 キャリアコンサルタント 女性活躍推進コンサルタント 女性活躍  研修講師 組織改革 離職防止 苅田町 行橋市等の京築地方 福岡市 粕屋郡 心理カウンセリング セラピスト NLPマスタープラクティショナー SPトランプインストラクター キャリア教育 東京都 TAカウンセラー 交流分析 エゴグラム実施 メンタルヘルス キャリアコンサルタント試験対策 キャリコン試験対策 ファシリテータ 研修パワハ防止 心理カウンセラー

お問い合わせはお気軽に!

ご不明・ご不安な点など、
何でもお気軽にお問い合わせください。

TEL: 093-981-0244 093-981-0244
営業時間: 10:00~19:00 不定休(カレンダー参照)