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これからの社会心理学 4

これからの社会心理学 4

(1)実践知

社会心理学の研究は、その成り立ちからして、現実世界の事件や事象との関係が非常に深い学問である。
そのため、社会心理学が提供する知識が、現実の問題解決に利用できることは数多くある。
これが実践知である。

特に社会心理学の研究をリードし続けてきたアメリカでは、社会心理学によって得られた実践知はさまざまな場面で利用されており、社会心理学者が選挙の際に候補者にアドバイスしたり、参考人として法廷で証言をしたり、マーケティングのコンサルタント業務を請け負ったりするということも珍しくない。
加えて最近は、発信力のある社会心理学者たちが、自ら生み出した知見を一般に向けて易しく解説する書籍が次々と出版されるようになった。
これらの書籍の多くは、私たちが日常の中で遭遇したり、頭を悩ませたりしたことがある問題を扱っており、社会心理学の実践知を一般の人々が利用することに一役買っている。
今のところ日本では社会心理学者がこの種の書籍を出版することは稀だが、(『信頼の構造』をはじめとする山岸の著作は数少ない例外である)2000年以降、海外(主にアメリカ)で出版された書籍が、時を待たずして邦訳書として出版されるケースが飛躍的に増えており、日本においても社会心理学の実践知を求める土壌があることが示唆される。

(2)人間観構築の基礎となる「知」

社会心理学がもたらす「知」として上記のような実践知は思いつきやすい。
しかし唐沢(2012)によれば、社会心理学はそれだけでなく、「人間とはどのような存在か」という、より本質的な問題を考える上での「知」をも提供するという。
いわば人間観構築の基礎となる「知」である。

私たちは日々、他者や自分の行動を観察しており、その意味で誰もが”アマチュア”の社会心理学者でる。
しかしそのような観察は体系的でなかったり、バイアスがかかっていたりするため、人間がさまざまな社会的場面で何を考え、何を感じ、どのように振る舞うかを正確に見極めることは案外難しい。
したがって社会心理学の第一義的な目的は、それを実験等の実証研究を通じて、なるべく客観的に明らかにすることにある。

日常生活につきまとうさまざまなノイズを取り払った条件で、なるべく純粋に「社会に中で生きる人間の心」を抽出しようとする社会心理学の取り組みは、特別にそれを意図しているわけでなくとも、必然的に人間に対する見方を再考させる機会を提供するのではないだろうか。
これが人間観構築の基礎となる「知」である。
そしてこの「人間」には、当然ながら自分自身も含まれる。
したがって、人間観の再考は自己観の再考もうながすものだろう。

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