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知覚・認知心理学とは 1

知覚・認知心理学とは 1

1.考えること
(1)人間は考える存在

17世紀のデカルトは、「こころと身体は別物である」という心身二元論で有名であるが、その著書『方法序説』の中で、哲学の第一原理として「われ思う、ゆえに、われあり(cogito ergo sum)、すなわち「考えること」こそ、人間の本質であると言及している。
また、同じく17世紀の哲学者・数学者のパスカルは、その遺稿集『省察録 パンセ』の中で、「人間は考える葦である」と名言を残している。
同じ著書に中で、「人間は明らかに考えるために作られている。それが、彼のすべての尊厳、彼のすべての価値である」(第2章146)とも述べている。

(2)日常生活における「考えること」

①空が暗くなっている、これから雨が降るかもしれない
「推論・推測」
②沖縄旅行に行きたいけど、どうしたらよいだろうか?
「問題解決・プランニング」
③昨日の夜、なにをたべたかな?
「記憶・想起」
④Frailty,the name is woman・・・この英文の意味は何?
「言語理解」
⑤ガヤガヤしたパーティで、上司が何を話しているのか?
「選択的注意」
⑥お店で何を食べようか迷う
「判断・意思決定」

(3)無意識的に考える

人間の視覚系はサングラスや照明の効果を相殺して、オリジナルの色を無意識的に「考え」出してしるのである。
この現象は、「色の恒常性」として知られている。
シェパード錯視(Shepard illusion)では、人間は、無意識的に奥行き情報を組み入れて、形の知覚を成立させた結果、物理的な形態とは異なった知覚像を形成しているのである
この場合は、目に映った画像は同じでも、「奥に広がった物は長い」と「考えた」のである。
このような、色の恒常性や錯視は、脳が無意識に「考えた」結果といえる。

(4)考えることの基本

「意識的に考える」、つまり、問題を意識的に解決することの事例の前に、問題を2種類に分類してみる。
それは「順問題」「逆問題」という分類である。
いまax=bという等式を考える。
aとxの値が与えれている場合(例えばa=2,x=3)、bの値を求める問題は順問題である。
一方、bが与えられて(例えばb=10),aやxを求める問題は、逆問題である。
上記の式の左辺を原因、右辺を結果と考えれば、順問題原因から結果を考える問題、逆問題結果から原因を考える問題といえる。
意識的に考えることに関して、現在の情報をもとに、今後の事を予測するのは、順問題を解くことになる。
一方、現在の情報をもとに、過去の出来事を想起したり、推測したりするのは逆問題を解くことになる。
なお、上記の例で、b=10が与えられてもaやxは一義的に決められない。
つまりax=10を満たすaやxは、それが実数ならば無限に存在する(解は不定)。
このような逆問題は、特に不良設定問題(ill-posed problem)と呼ばれる。
しかし、仮にaが与えられれば、xの値は求まる。
以上の点は重要である。

2.「意識的に考える」ことの事例

洞察問題とは、人間が難問に直面し、「考えること」に行き詰ったときでも、発想を変えると(認知心理学では、「問題表現を変える」ともいう)、比較的簡単に解にたどり着けるという例である。
認知心理学では、この洞察問題の解決過程を詳細に検討し、日常生活の中でそれを生かす道を探っている。

フラッシュバルブ(閃光)記憶という現象がある。
周囲が薄暗い時、カメラのフラッシュを焚くと、そこには鮮明な画像が写し出される。
そのように、過去の記憶でも、自分にとって重要な出来事の記憶は、まるで、フラッシュバルブを焚いて写した写真のように、鮮明で正確に、時にはその時の感情までが伴って想起される、といわれている。
しかしながら、記憶の研究によれば、人間の記憶というものは、コンピュータのメモリ上の情報とは異なり、かなり創作的であることがわかっている。
アメリカで起きた、9.11事件では、ニューヨークのビルに乗っ取られた2機のジェット機が激突した事件は、質問を受けたアメリカ人の学生の多くが、鮮明に正確に覚えていると答えている。
フラッシュバルブ記憶である。
そして、1機目のジェット機が激突した映像を、73%の学生が「見ていた」と証言している(2003)。
実際には、そのような映像は残っていない。
彼らの記憶は、意識的に作られたものではない。
その当時の時間的・空間的あるいは感情的な文脈をもとに、無意識的に再構築されたものといえる。
過去の出来事を思い出すというのは、「意識的に考えること」に含まれる重要な機能の一例であるが、上記の事例には、考えることの特徴が表れている。
つまり、「意識的に考えること」には、無意識的なプロセスも関与しているということである。

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