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問題解決―山頂を目指すにはー3

問題解決―山頂を目指すには―3

3.洞察問題

洞察問題とは、問題解決の過程において、漸進的に解に至るのではなく、手詰まり状態に陥るものの、一瞬のひらめきが生じて解に至る問題である。
通常の問題では、下位への近づき感(暖かさ(warmth)と表現される場合もある)が次第に増大するが、洞察問題では暖かさが低レベルから高レベルへ突然に変化する。

(1)洞察問題の解決と心的表現

通常の問題解決では、与えられた問題表現から、心的表現(問題空間)を形成し、それに長期記憶からの情報を加味して、推論を行い、操作を選ぶ。
その結果、われわれのの心的表現が変化する。
問題を解決する際、困難に陥るのは、①間違った心的表現を形成した場合、②正しい心的表現っを形成しても、選択肢がたくさんあり、どのような推論が妥当か不明な場合、である。
洞察問題は、①に当てはまる。
「チェッカーボード問題」では、通常、人がまずこの問題に接すると、ドミノでチェッカーボードを順に埋め尽くそうとする。
この時、問題解決者は、心的表現として、「埋め尽くし問題空間」を形成し、その空間内を探索していると考えられる。
しかし、その心的表現のために、行き詰まることもある。
その行き詰まり状態を、インパス(impasse)という。
行き詰まり(インパス)を打開する方法には、①問題の別の側転に焦点を当てる、②極端なケースに注目する、③類似の問題がないか探す、④問題を別の方法で見るべく努力する(再符号化)、⑤制約を緩和する、などが挙げられる。
「チェッカーボード問題」では、④を用いると「白黒マス数え上げ問題空間」の探索となり、行き詰まりが打破されて、問題解決の道が開けるのであった。

(2)ゲシュタルト心理学アプローチ

ウェルトハイマー(1945)再生産的思考(reporoductive thinking)生産的思考(productive thinking)という概念を提唱した。
前者は、問題構造を考慮することなく、以前に学習した手続きを使用する思考法であり、後者は、問題の構造に関する深い理解を基礎とし、必要に応じて問題を再構成する思考法である。
そして問題が与えられたとき、解決が遅れるのは、まず、①問題の構造や過去の経験により(再生産的思考)問題解決に必要な関係性の発見が阻害され、②インパスに陥る、と考えた。
しかしながら、③対象となる問題を新たな観点から捉え直し、再構成化することにより洞察が導かれる、と考えている。

ゲシュタルト心理学者は、既知識の不適切な使用による思考の失敗に注目し、次の2つの要因を指摘した。
1つは、機能的固着(functional fixedness)というもので、あるものの使用法は1種類ではないことに気づかない、という特徴を有する。
2つ目は、構え効果(set effect)と呼ばれるもので、より単純な手続きで解決できるのに、以前に学習した手続きが心的構えとなり、それを適用してしまうことをいう。

機能的固着の例として蝋燭箱問題がある。
「蝋燭の明かりをつけたとき、蝋が床に落ちないよう、蝋燭をドアに固定しなさい」という問題である。
これは、画びょうが入っている箱を蝋燭の支持台とするのが正解である。
ゲルマンデファイテル(2000)は、5,6,7歳児を被験者として、箱の機能(モノを入れる)を①あらかじめ見せる群と②見せない群とに分けた。
そして、その後、箱を蝋燭の支持台として使用するまでの時間を測定した。
その結果、5歳児は、事前に箱機能を見たかどうかに影響を受けないが、6,7歳児は、事前に箱機能を提示されると、5歳児より、正解にたどり着くまでに、時間がかかった。
つまり、6,7歳児では、再生産的思考が働き、機能的固着を示したことになる。

「構え効果」の例では、ルーチンズルーチンズ(1959)は、「水差し問題」という課題を開発した。
課題は、3つの水差しを使って決められた水量を計測することだが、3つの制約がある。
①水差しを満杯にすることはできる。②水差しを空にすることができる。③水差しから水差しへ移動できる。
つまり、B(満杯)-A-2×C→Bである。
これは、減算問題と呼ばれ、減産方略を使う必要がある。
このように、加算問題を続けて解いていると、加算方略という構えができあがり、加算問題は早く解けるようになるが、減算問題に変わると、統制群より、解くのが遅くなるのである。

(3)洞察問題の解決

洞察問題解決は、生産的思考に属する思考の1つの形態である。
洞察問題では、機能的固着構え効果に代表される再生産的思考が、生産的思考を阻害するので、このような再生産的思考の壁を超えることによって、解決がもたらせると考える。
そのためには、問題の再構成化が必頭である。

洞察問題の発生と解決プロセスをまとめると、次のようになる。
①インパスの存在。②失敗事例の利用不可能性、つまりは、自分手法に固執することである。それによって、③重要なデータの無視が生じる。しかしながら、しばらくの④抱卵期(incubation,卵を抱きかかえるように問題を温めておく期間)の後、⑤飛躍的解決が生じる。これは、漸進的ではなく突然の「ひらめき」である。そして、ひらめきが生じたとき、⑥感情的体験の随伴、つまり、驚きや感動(アハ体験)が随伴し、⑦洞察後の了解、つまり、後から考えると、こうだったのか、という納得状態に至る。この時、⑧問題表現の転換が生じる。つまり、洞察前後で問題空間自体が別物になるのである。

洞察問題は、問題解決の情報処理アプローチに異論を提起しているように見える。
問題解決の情報処理アプローチでは、系列的で意識的なヒューリスティックな探索を組み込むが、洞察問題は、それに則らないように見えるからである。
これを理由に、洞察問題問題解決の特殊ケースのように考える研究者もいるが、洞察問題を伝統的な情報処理アプローチの枠組みに居れようとする研究者もいる。
カプランサイモン(1990)は、洞察問題心的表現内の探索ではなく、適切な心的表現を求める表現間の探索である、と考え、洞察問題の解決も、情報処理アプローチの枠組みで了解可能としている。

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