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推論ー論理的に考える、一から十を知るー2

推論―論理的に考える、一から十を知る―2

(2)ウェイソンの選択問題(4枚カード問題)

【真理値表課題】

条件三段論法では「真なる条件文」から導出される「結論」の妥当性が検討された。
しかし、演繹的推論を研究するツールは、三段論法だけではない。
条件文を用いた推論では「条件文の真偽」を検討する課題もある。
例えば、「月曜日ならば認知心理学の授業がある」という条件文が本当か嘘か、それを確かめるにはどうするか。
このような問題を扱うのが真理値表課題であり、それによって、実は、人間の演繹的推論の特性が浮かび上がるのである。

この真理値表に関連した課題が真理値表課題であるが、その中で、ウェイソンの選択問題(「4枚カード問題」ともいう)が有名である。
ウェイソンの選択問題(1966)は、基本的には、まず4枚のカードが机の上に置かれる。
カードの片面はアルファベット、もう片面には数字が書かれている。
そこで、条件文が与えられる。「カードの片面に書かれた文字が母音ならば、もう片面に書かれた数字は偶数である」。
参加者の課題は、この条件文が正しいか間違ってるかを確かめるには、少なくともどのカードを選んでも裏返したらよいか、決めることである。
つまり、主張課題である。

【実用的推論スキーマ】

基本的な「ウェイソンの選択課題」は、主張課題であり、上記のように内容的には抽象的で、日常生活で使われることはない題材を用いている。
それによって、人間の推論に関する基本的な特性が抽出されるわけであるが、その特性が、日常生活でそのままうかがえるわけではない。
日常場面では、条件文の内容が、推論様式に影響を与える可能性は大きいといわれている。
グリックスコックス(1982)の研究では、カードを4枚用意して、「カードには、ある飲食店のテーブルに座っている4人の素性が記述してある。カードの一面には”飲んでいるもの”、ほかの一面には”年齢”が書かれている。そして、『ビールを飲むなら、19歳を過ぎていなければならない』という飲酒規則を破っている若者がいないか調べたい。どのカードを調べたらよいか」のような変形「選択問題」を考案した。
これはいわゆる原則課題である。
この課題も「真理値表課題」と形式的には同じであり、「pならばq」の真偽を確かめるには、「pかつnot-q」の可能性のあるカード(これを違反事例という)をチェックするのが妥当である。
通常の「選択問題」と異なり、実験参加者の多くは、16のカード、つまりnot-qのカードを正しく選んだ。
条件文に日常的な事例が用いられた時には、実験参加者の頭の中に真理値表が浮かんだ、などというのは考えられない。
実際には、彼らの頭の中には、義務とか許可といった概念の枠組み(スキーマ)が備わっており、意識的か否かはわからないが、そのスキーマを使って、上記の課題を判断したと思われる。

権利を遂行するには、義務を果たさなくてはならないというのは、公の規則だけでなく、仲間内のルールにも当てはまる。
これらをスキーマとして身に付けているので、それを破る事例には敏感なのである。
このスキーマは、現在、実用的推論スキーマ(pragmatic reasoning schemas)と呼ばれている。
その後の研究で、「規則として知っていても、それがどんな理由で設けられたのかといった、深い意味を理解していないと、十分なスキーマは形成されない」ことが報告されている。
「権利を遂行するには、義務を果たさなくてはならない。」の根本には、「何かを手に入れるならば、代償を支払う」といった生物学的法則に則った社会的交換の原理があり、それに付随する基本機能として「裏切者検出」能力が備わっていると仮定する。自分が努力して得た獲物を、何の対価も支払わずに横取りする相手は排除する、といった生存能力である。

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