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知覚・認知心理学の研究方法 1

知覚・認知心理学の研究方法 1

1.「科学する」とは

仮説から、結果を予測する。
「大・中・小の種をまけば、それに応じた大きさの花が咲く」と。
これは、仮説から論理的に導いた結論である。
これと同時に、実際に、種をまいて、花の大きさを測る。
これが「実験・観察・調査」「データ」の収集と解析である。
そして、先の結果予測と実際のデータを照合し、それらが食い違えば、仮説やモデルを修正し、再度、結果予測とデータとの照合を行う。
両者が合致すれば、結論を導き出す。
分野によって、多少の違いがあるが、これが科学的方法の基本である。

2.「行動実験」的方法

行動実験的方法とは、人間や動物の行動指標(反応)を用いて、実験刺激や実験状況と行動指標との関係を捉えて、「考える」しくみを検討する方法である。
行動指標は、閾値、感覚・知覚量、記憶量、反応時間、カテゴリー判断、発話内容、動作特性(視線、ジェスチャー、表情等)など、多岐にわたる。
要は、仮説からそれを検証する課題が設定され、仮説・課題を反映した刺激や状況に対して、人や動物がどのように反応するかをみるわけである。

(1)閾値を測る

一般には、サブリミナル・パーセプション(閾下知覚)の意味で使用される。
サブリミナル(閾下)とは、「閾値より下の」という意味であり、前提として、閾値(threshold)というものの存在を仮定している。
閾値とは、感覚や知覚が生じるか否か、モノが何であるかわかるか否かの境となる、刺激の物理量を指す(これらは、検出閾、弁別閾、認知閾などと呼ばれる)。
しかし、閾値より下(強度などが小)の刺激に対しては、常に見えない・聞こえない、それより上(強度などが大)の刺激に対しては、必ず見える・聞こえるというわけではない。
さて、問題は、閾値を求める方法であるが、見えた・見えないの反応が五分五分の刺激強度µの値を、実験心理学では便宜的に閾値と考える。
したがって、µの値を求めることになる。
実験心理学には、閾値を求めるための古典的な方法(心理物理的測定法)があり、恒常法、極限法、上下法、調整法などがそれに含まれる。
例えば、極限法では、刺激の物理量を閾値より下のレベルから漸次上げていき、刺激が検出された(イエス反応)なら上昇系列と、閾値より上のレベルから漸次下げていき、検出されなくなった(ノー反応)なら止める下降系列とを何回も繰り返し、それぞれの系列で「止めた」時の物理量の平均をもって、µの推定値とする。
上下法は、極限法一種で、上昇系列でイエス反応が生じたら、その点から刺激の物理量のレベルを漸次下げていき、ノー反応が出たら、再度強度を上げる。
これを繰り返し、反応の転換点(ノー→イエス、イエス→ノー)の物理量の平均値を求める。
最近では、上下法を改良し、より短時間で閾値を算出する適応的方法などが提唱されている。

(2)感覚・知識量を測る

閾値は刺激を検出したり識別したりするのに必要な、刺激の強度等を表す物理量である。
これに対して、刺激を提示された際に感じる感覚量・知覚量を測定することもある。

われわれは日常生活において2つのモノを比較する時、「2倍くらい明るい」「半分くらいの重さ」という表現を使うことがある。
スチーブンス(1957)は、被験者は自分の感覚・知覚の量を数量的に把握できると考え、刺激強度に応じた感覚・知覚の強度(ある刺激を提示された時に、どれだけ強く感覚あるいは知覚印象が生じたか)に数値を与え、感覚・知覚量を定量的に報告させる方法を考案した。
この尺度構成手法(つまり、物差しを作る手法)はマグニチュード推定法(magnitude estimation)と呼ばれ、心理物理的測定法において最も頻繁に用いられる方法の一つである。

被験者には「標準刺激」(あるいは「参照パターン」)と「比較刺激」の2種類が提示され、被験者は、標準刺激に対する比較刺激の感覚・知覚量を報告する。
標準刺激の値をいくつかにするかは特に決まっていないが、通常は100や10などの値が用いられる。
この値は、全系列を通じて一定である。
そして、スチーブンスは、数多くのマグニチュード推定法による実験から、各刺激強度Sに対する感覚・知覚のおおきさRとの関係は、
R=кS”
к;定数 、n;感覚次元ごとに定まるベキ指数
というベキ関数(poewer function)で近似されることを見出した。
この定式関係をスチーブンスのベキ法則(Stevens’power law)と呼び、この方法で構成される感覚・知覚尺度をマグニチュード尺度という。

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