判断と意思決定―人間は合理的かー1
判断と意思決定―人間は合理的か―1
【キーワード】
決定木、確率判断、価値判断、効用関数、期待効用理論、価値観数、プロスペクト理論
「判断と意思決定」の3要素
①選択肢・・・行動や選択、方略の道筋
②結果と効用・・・特定の選択肢の選択(またはそれに続く事象)から受取る内容・結果にはその客観的価値及び主観的評価(効用)付随する。
③尤度(主観的な条件付確率)・・・特定の選択肢を選択したときに特定の結果が生じる。確からしさの推定、あくまで主観的なもの。信念ともよばれる。
判断(judgement)・・・人間の行う判断には、様々な情報を活用し、評価を行う。
意思決定(decisionmaking)・・・意思決定には、その決定の重要性によって、関わる要因が異なる。そこにも、評価・判断が絡む。
1.判断と意思決定を科学する
規範理論・・・最良の結果をもたらす合意意思決定モデルであり、要するに、「~すべき」というという解を導出する。これには、数学モデルや経済学モデル、あるいは進化心理学的な考えを含む。
記述理論・・・人が、「どのように決定すべきか」ではなく、実際に、「どのように意思決定しているか」に関する理論である。意思決定に関わる主要な認知活動は、「選択肢の評価」と、目標を達成しやすい「選択肢を決定すること」である。
この意味で、記述理論は、現実場面における人の意思決定行動の予測と理解に有効と思われる。
意思決定の構成要素は、決定木(decision tree)と呼ばれるグラフィカルな表現で要約できる。
決定木で表現したものでは、図の枝のようなものは、選択肢を表す。
上の枝は、「図書館で勉強」、下の枝は「デートに誘う」である。
枝の先には結果が記されており、そこに添えられている数値は、結果から受取る価値(利得や損失)である。
図書館で勉強ならば25の利得、デートに誘ってOKならば50、NOならば40の損失となる。
数値は、あくまで、個人の主観的な価値であり、効用(utility)と呼ばれる。
このように、意思決定の基盤となる判断には、可能性(確率)の判断と価値の判断とが絡むことになる。