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知覚のしくみⅠ-モノが見える不思議ー2

知覚のしくみⅠ-モノが見える不思議ー2

3.知覚の恒常性

さて、一次視覚野で取り出されるのは局所的なエッジの方位や光の波長である。

(1)明るさの恒常性

モノの表面で反射した光が網膜に到達すると、その波長は3つの錐体の反応強度の比が割り出される。

アデルソンチェッカシャドー錯視では、タイルAに隣接しているタイルの入射光は、タイルBからの入射光よりもはるかに強いが、照明光が異なると推定されるため、両者は同じ明るさの白いタイルだと感じられる。
照明光の強さが変わっても表面の明るさの知覚が変化しない視知覚の性質を、明るさの恒常性(brightness constancy)という。
チェッカーシャドー錯視はこの明るさの恒常性のしくみを利用したものといえる。

(2)色の恒常性

明るさの恒常性は光の強度にのみ関わる現象だが、色の知覚が3種の錐体が捉える各波長の強度に基づくことを考えると、似た現象が色についても存在することは容易に想像がつく。
現に、黄色いチューリップは、昼間でも夕焼け時でも黄色く見える。
これを色の恒常性という。
ランドマカンは、このエッジでの波長の比をもとに、色の恒常性の理論(レティネクス理論(retinex theory);1971)を立てた。
ほかにも、例えば「同じ色相で明るさの異なる面は影である」といった、私たちが環境について持っている先行知識が利用されている可能性もある(2005)。

(3)大きさの恒常性と幾何学的錯視

視覚システムには照明光や見る側の要因(距離や位置、動きなど)が変わっても、外界のモノの大きさや形、配置などを安定して知覚するための様々な仕掛けがあると考えられる(知覚の恒常性:perceptual constancy)。
奥行き手がかり(透視画法)と錯視では、BはAに描かれれている3人のシルエットのうち、大きいシルエットと小さいシルエットを並べて表示した図である。
この2人の大きさの違いは、Bの方が大きいと感じるのではないだろうか?
Aには線遠近法(linear perspective)という奥行き手がかりが描かれているので、あたかも三次元の空間のように見える。
仮にAが、本当に三次元の空間を見ているときの網膜像だったとしたら、シルエットの3人はほぼ同じ大きさだと知覚されるはずである(大きさの恒常性)。
いまは、紙面上に描かれている絵だとわかっているにもかかわらず、私たちの脳では、線遠近法に触発されて、不完全ながらも大きさの恒常性のしくみがはたらいてしまい、Aでのシルエットの大きさの違いを本来よりも小さく感じてしまうと考えられる。
ポンゾ錯視(Ponzo illusion)と呼ばれる幾何学的錯視である。
内側の2本の線分の長さは実際には等しいのに、上の線分が長く見える。
その理由は両脇のハの字型の線分にある。
線遠近法の成分である。
幾何学的錯視は、単なる知覚の誤りではなく、むしろ、私たちが周囲の三次元世界を正しく理解するために備えている巧妙な仕掛けが、二次元に描かれた特殊な絵を見るときに駆動された結果として捉えることができる。

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