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知覚のしくみⅡ-意識にのぼる世界とはー2

知覚のしくみⅡ-意識にのぼる世界とはー2

3.視聴覚情報の統合

(1)腹話術効果とダブルフラッシュ錯視

テレビで話している人を見ているとき、本当はスピーカから声が聞こえているにもかかわらず、あたかも移っている人の口元から発せられているように感じるのではないだろうか?
これは、腹話術効果(ventriloquism effct)といわれる現象で、音源定位(音の発生場所の知覚)に資格が影響を与える例である。

腹話術効果とは逆に、聴覚情報に知視覚に影響する例もある。
例えば、光点を短時間で提示する間に2回音を鳴らすと、光点が点滅して見えるという錯覚が起きるダブルフラッシュ錯視、2000)。

(2)マガーク効果

腹話術効果ダブルフラッシュ錯視は、視覚と聴覚、どちらかの感覚に基づく知覚が優勢になる例だが、視聴覚の情報が統合されると、視覚だけの刺激、聴覚だけの刺激を与えられた場合とは別の知覚が生じることもある。
マガークマクドナルドは、人が/ga-ga/と繰り返し発音している映像を見せながら/ba-ba/という声を聞かせる実験を行った。
その結果、成人では90%以上の参加者が/da-da/という声が聞こえたと報告した。
つまり、視覚の刺激とも聴覚の刺激とも異なる、第3の声が聞こえたことになる。
これをマガーク効果(McGurk effct)という。
マガーク効果は、どのようなしくみで起こるのだろうか。
まず、/ba/da/ga/がどんな関係にある音なのか、見てみよう。
/ba//da//ga/は、いずれも口にある部分(/ba/は唇、/da/は歯茎付近、/ga/は口の奥の方)で一度空気を止めてから急激に出す、という方法で発音されるため、音の性質は似ている。
/ba//da//ga/に聞こえる合成音のサウンドスペクトログラム(sound spectrogram)が並んでいる。
サウンドスペクトログラムとは、音声に含まれている周波数の時間的変化を表した図で、横軸は時間、縦軸は周波数、明るさによって周波数の振幅が表されている。

(3)他感覚情報の統合

どの感覚の情報が大きな影響を持つかは、直面する課題を行うにあたって各感覚からの情報がどれくらい信頼できるか、その度合いに応じて変化する。
視覚と聴覚が共に鮮明な刺激の入力を受けるのであれば、音の発信源の特定については視覚の方が聴覚よりも信頼できるし、時間的な細かい変化を知るときには聴覚の方が視覚よりも頼りになる。
腹話術効果ダブルフラッシュ錯視は、この鮮明な入力状況を反映した錯視だと考えられる。
しかし、日常生活では、状況によってどちらの感覚が信頼できるかも変わる。
例えば霧が出ているときには、視覚より聴覚を重視した方が正確な位置を把握できるかもしれないし、雑音が多い場所ではその逆だろう。
マガーク効果の場合には、私たちは普段、顔を見ながら会話するので、知らず知らずのうちに、音声の聞き分けに口の動きの情報も使っているのだろう。
それが、視覚と聴覚を同じくらい重要視した統合として現れているのかもしれない。
ただし、日本語や中国語を母語とする人は、英語を母語とする人に比べてマガーク効果が弱いという報告もあり、話す言語や文化によって、視聴覚の重み付けは異なっている可能性もある。

4.行為と知覚世界の関係

一次視覚野に損傷を受けた人の中には、意識的には何も見えていないにもかかわらず、光点の位置を指差したり、光点が出た方向に目を向けたりすることができる人がいる。
さらには、目の前に置かれた物体を手を伸ばしてつかむときに、手の開き幅を調整し、正確に手首を回転させるという報告もある。
このような例は盲視(blindsight)と呼ばれており、私たちが、意識的な視覚世界を構築するしくみとは別に、行為のための視覚処理のしくみを備えている証拠だといえるだろう。

眼から脳へと視覚情報を伝える経路には、網膜ー外側膝状体ー一次視覚野という経路(主経路;意識的な視覚に関与)のほかに、外側膝状体の代わりに上丘という部位を通って、一次視覚野を通らずにその周辺領域に直接情報を送る経路など、複数の経路が知られている。
盲視では、この上丘を通る経路が損傷受けない状態で残っており、それによって、一次的視覚野以外の部位での視覚情報の解析が可能な状態が保たれているのだと考えられる。
「モノがどこにあるのか」または「モノをどう扱うのか」といった行為に関する情報は、頭頂葉に向かう経路で解析が行われると考えられている。

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