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知覚・認知の神経的基盤ー脳が考えるー2

知覚・認知の神経的基盤―脳が考える―2

3.活動電位の発生と伝達

(1)活動電位

神経細胞は、細網膜によって覆われているが、定常的には、細胞の内側の方が外側と比較して約ー70mvの電位差(分極状態にあるという)を有している。
これを静止膜電位という。
そこに菅木が与えられると、一時的に細胞内外の電位差が逆転して(大まかにいえば、ナトリウムイオンNa⁺の流入が原因)、内側の方がプラスの電位になり、そして瞬時に元に戻る(Na⁺の流入が止まりK⁺が細胞から流失)。
これが活動電位(action potential)と呼ばれるものである。
活動電位の発生は、分極状態→脱分極状態→逆分極状態→脱分極状態→過分極状態→分極状態と進む。
活動電位は発生するか否か、つまり、1か0かのデジタル的性質を有するのであり、刺激強度に応じて持続的にその大きさが変化するようなアナログ的なものではない。
活動電位の持続時間は数ミリ秒である。
活動電位の発生場所は決まっていて、軸索の付け根部分(細胞体から軸索が伸びる部分。軸索小丘と呼ばれる)である。
この活動電位の正体は、上記のように、ナトリウムイオンの流入が主たる要因であり、それが波のように、軸索内部に広がり、基本的には、軸索の先端の方に伝わっていく。
これを伝導(conduction)という。
なお、活動電位の発生を、発火と称することが多い。
また、活動電位の発生には、エネルギーが消費される、。
軸索ミエリン鞘という鞘に覆われ、軸索本体は細胞外と直接には接触していない部分が多い
しかし、一定間隔でその膜が切れており(ランビエ紋輪;Ranvier node)、実際には、活動電位は、その切れ目部分、つまり軸索上で一定間隔ごとに発生する。
これを跳躍伝導という。
跳躍伝導のおかげで、活動電位の伝導速度が上がるし、エネルギーの消費も抑えられる。
なお、ミエリン鞘の内側では、電位変化はイオンの移動として伝播される。
活動電位の発生を伴う伝導能動的伝導発生を伴わない伝導受動的伝導という。
活動電位は、微小電極法で測定できる。
では、どのようにして、活動電位のパターンから、外部の情報を復元できるのであろうか。
弱い刺激には活動電位の発生頻度は少なく、強い刺激には発生頻度が多い。
つまり、活動電位の頻度は、その神経が担う刺激の強度を表現しているのである。
このほかに、複数の神経細胞の中で、どの神経細胞がどのタイミングで発火するかといった、神経細胞を単一ではなく集合として捉える点や時間的同期性といったも、情報復元の鍵になると考えらっれている。

(2)神経ネットワーク

ここまでの説明で、単一の神経細胞とその機能は理解されたかもしれないが、神経は単独で働くものではなく、情報が伝達されるためには、多数の神経がネットワークとして繋がることが必要である。
1つの神経には多数の神経から信号が入力され、さらに、それ自身から他の多数の神経に出力している。
これが神経ネットワークの特性である。
最近の研究では、脳には約860億個の神経細胞があるらしいが、1つの神経が結びついているのは、近隣の1万個くらいである。

1つの神経が他の神経と結びついているのがシナプス(syanapse)である。
この部分が、脳の情報処理、つまり、機能上極めて重要な役割を担っているのである。

(3)シナプス

神経ネットワークは、文字通り網の目状に構成されているのであるが、個々の神経が隙間なく繋がっているのか、それとも、神経と神経の間には感覚が存在するのか、20世紀の前半に論争が繰り広げられた。
前者はゴルジ、後者はカハールという、共にノーベル医学・生理学賞を受賞した研究者が代表的なのだが、結論をいうと、基本的には後者が正しい。
神経ネットワークといえでども、神経間には間隙が存在する。
その部分をシナプスという。
この部分で、重要な信号伝達が行われる。
シナプスは、シナプス前細胞シナプス間隙シナプス後細胞で構成されている。

軸索の末端に伝えられた電気信号によって、送り手の神経細胞シナプス前細胞から神経伝達物質がシナプス間隙に放出される。
それが受け手の神経細胞シナプス後細胞受容器に取り込まれると、その電気的性質が変わる。
ナプス後細胞内に主としてNa⁺が流入し、活動電位が発生しやすくなる場合(脱分極状態へ進む)と、細胞内へ塩素イオンCI⁻が流入して活動電位が発生しにくくなる場合(過分極状態へ進む)とがある。
前者は興奮的伝達、後者は抑制的伝達と呼ばれる。

神経伝達物質には、アセチルコリンやドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン、グルタミン酸やGABAのほか、多数の化学物質が知られているが、これらは人間の様々な行動や生命維持に必要不可欠なものである。
神経伝達物質の生成や受容器での取り込みが阻害されると、あるいは、過度に促進されると、様々な障害が生じる。

「考えること」の神経的基盤は、まさに、このシナプスでの情報伝達にあるといっても過言ではない。
外界からの各種信号が、感覚器で活動電位という電気信号に変換されるが、それは、多数の神経細胞を経由して、脳内のしかるべきところに到達する。
個々の神経間には、関所のようなシナプスが存在して、促進や抑制などの信号のやりとりを調節している。
ある信号が以前より通りやすく、あるいは通りにくくなれば、それは記憶や学習の成立を意味するのかもしれない。
つまり、ある信号に対して、以前にも増して脳が活性化(あるいは、不活性化)すれば、それは、脳がその信号を「覚えている」ことになると考えればよい。

シナプス部分での神経伝達物質のやりとりで、受け手側の細胞膜の電気特性が変化するが、この場所(多くは、樹状突起部分)では活動電位は発生しない。
1つの神経細胞は多数の神経細胞からそれぞれのシナプスで信号を受け取り、電位変化が生じる。
それらが加算されて、ある閾値を超えると、その神経細胞は、軸索小丘の部分で活動電位を発生し、軸索を通して、次の神経に信号を送る。
もし抑制性の信号を多く受け取ったら、活動電位が発生しにくいことになる。
神経細胞は、明確な刺激がなくても、時々、自発的に活動電位を発生する。
抑制が進むと、それさえも抑えられる。

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