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知覚・認知の神経的基盤ー脳が考えるー3

知覚・認知の神経的基盤―脳が考える―3

4.脳の構造と機能

「考えること」のハードウェア的な基盤が、コンピュータでは電子回路であるように、人間を含む動物では、神経細胞やそのネットワークであることは、事実として捉えてほしい。
神経細胞および神経ネットワークを使った情報処理の中枢が、脳である。

ワード(2015)のまとめたところによると、人間の脳は、全体重の2%を占めるにすぎないが、エネルギーの消費は20%占める。
脳内には、約860億個の神経細胞があり、個々の神経細胞は、約1万個の神経細胞と情報伝達している
その連絡は近隣の神経細胞とであって、遠くの神経細胞との連絡は、例外的である。

頭蓋を取り除いて、上から見ると、脳は左右に分かれている。
左脳(左半球)と右脳(右半球)である。
解剖学的には類似しているが、機能的には異なる部分が多い。
これをラテラリティ(laterality;大脳半球機能差)という。
例えば、左脳は言語処理に優れ右脳は空間処理に優れるといった違いである。

脳の水平断面は、MRI画像なので、頭蓋も写し出されている。
神経細胞は細胞体と軸索とで見えの明るさが異なり(細胞体の方が暗い)、そのことから細胞体灰白質軸索白質と呼ばれる。
脳の内部は神経細胞で詰まっており、表面部分は細胞体、内側に軸索が集積している様子がうかがえる(なお、黒い部分は脳脊髄液である)。
表層部分が内側にくびれているのがわかる。
脳を側面からみると、脳は、玉ねぎのように、内側から外側に向けて、層状の構造になっており、これは、進化の過程で構築されたものである。
そして、内側から外側に行くにつれて、人間特有の機能、つまり「考えること」を司る領域が広がるようになっている。
一番外側が、厚さ約3mmの大脳皮質(cerebral cortex)である。
大脳皮質は、大きく分けて前頭葉頭頂葉後頭葉側頭葉からなる。
これらはいずれも、情報処理の担い手である神経細胞と、それらを支え、養分補給や脳内の掃除などを司るグリア細胞からなる。
大脳皮質を細胞構築学の観点から分類したものとして、ブロードマンの脳地図(Brodmann’s areas)が知られている。
これは、細胞構造が類似しているものを一塊として、区分けしたものである。
1番から52番までラベル付けされており、例えば、BA17は、ブロードマン17野のことであり、後頭葉の視覚第一皮質として知られている。

脳の機能、つまり、どのような情報を処理しているのかは、どこにある神経細胞が、どのタイミングで、どの程度(毎秒何回)の活動電位を発生するかが問題となる。
例えば、頭頂葉に中でも、前頭葉と接している体性感覚野(BA3,1,2)と呼ばれる領域を構成する各神経群は、体表面の各部位からの接触信号を受け取る(体部位局在:smatotopic organization)。
ただし、その受け取る神経群の規模は、体性感覚の識別力がよいほど大きい。
この識別力は、触覚2点閾によって測ることができる。
触覚2点閾とは、簡単にいえば、2本のコンパスの針先を同時に体表面に当てた時、その針の距離が小さくても、2本とも感じられる閾値のことである。
唇や掌は2点閾が小さく、お尻などは大きい。
それを反映して、体性感覚野における担当神経群の規模が異なるのである。
このほかにも、視覚や聴覚といった知覚機能、言語機能、記憶機能、運動機能、意思決定機能等、「考えること」に関与する主要な脳部位は多く提唱されている。
しかし、これらを独立した脳部位と考えるのではなく、それが協調して「考える」機能を果たしていると捉えるのが正しい。
言語機能を例として挙げると、誰かと話をするには、聴覚、言語理解、言語産出、動作などの機能が相互に協調してはじめて正確に機能するものであるから、それらを担当する脳部位が、信号を伝達しあう必要がある。

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