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感覚の科学ー感じるしくみ-1

感覚の科学―感じるしくみ―1

1.環境を知るために

(1)感覚と共存
(2)人の感覚

2.視覚
(1)視覚の刺激:光(可視光線)

視覚は、光を利用する感覚である。
人にとっての光(可視光線)は波長約400~750nm(nmは1mmの100万分の1の長さ)の電磁波だが、動物によって利用できる波長の範囲は異なっている。

太陽や電球などの光源から発せられた光は、モノの表面で反射する。
眼の方向へ反射された光が眼球の奥にある網膜(retina)に届き、網膜を構成する光感受細胞によって電気信号へと転換されるのが、視覚のはじまりである。

つまり、私たちの視覚システムへの入力刺激は網膜に到達した光の配列というこになる。
この光の配列を網膜像というが、網膜像は、私たちの周りにあるモノの世界とも、私たちが意識する視世界とも、だいぶ様子が異なっている。
まず、眼に入射した光は瞳孔という小さな穴を通って網膜に投影されるため、網膜像は倒立している。

(2)光のコード化

光を捉えて電気信号に変える(符号化する)のが光感受細胞(photoreceptoy)であり、人の眼の場合、網膜の一番奥に並んでいる。
光感受細胞には桿体(rod)錐体(cone)の2種類があり、それぞれ、電気信号に変えることのできる光の強さや波長が異なっている。
暗い部屋に入ると一瞬何も見えなくなるが、その後、眼が慣れてきて、しばらくすると周りの様子が見えるようになる。
この現象は暗順応(dark adaptation)と呼ばれ、周囲の光量が減ると、光感受細胞が弱い光を符号化できるようになる(感度(sensitivity)が上がる)ことを反映している。
この暗順応桿体錐体でスピードと幅が異なる。
桿体暗順応は遅いが、その感度上昇の度合いが顕著で、30分も経つとごく弱い光でも感知できるようになる。
これに対して、錐体暗順応は、スピードは速いがすぐに限界に達してしまう。
つまり、最大感度で比べると、桿体は弱い光でも符号化できるのに対して、錐体はある程度強い光でないと、符号化することができない。
このような性質の違いから、桿体夜間や暗いところでの視覚の基盤錐体昼間や明るいところでの視覚の基盤となっている。

暗いところで小さいモノを注視すると消えてしまう、という経験はないだろうか。
実はこの現象は、網膜での桿体の分布と関係している。
モノを注視したときに、その像が投影される網膜上の位置中心窩(Fovea)というが、中心窩には錐体だけがあって、桿体はない。
それゆえに、桿体のはたらきによって、視野の周辺では感知できる弱い光でも、見つめてしまうと感知できない、つまり見えない、という現象が生じる。
網膜の箇所によって暗順応曲線が違う背景には、この桿体錐体の分布の違いがある。

ところで、明るいところと暗いところでは見え方が大きく変わるのが「色」ではないだろうか。
明るいときには色彩豊かな環境でも、暗いときにはほとんど無彩色に見える
これは、錐体には異なる波長に感度の高い3色があるのに対して桿体は1種類しかないことが原因である
したがって、単一のユニットが発生する信号強度からだけでは、光量Lの波長Aと光量2Lの波長Bを区別することはできない、つまり、光の量と色を区別することができない。
このような状況下では、信号強度を明るさとして知覚することになり、モノクロの世界ができあがる。
これが、桿体のみが働く、暗いところでの見え方に相当する。

ユニットが3つあれば、多くの場所で異なる信号比が得られ、色の識別がよくなる。
桿体とは異なり、錐体には通常異なる波長(565nm,535nm,420nm)に感度のよい3種類(L錐体、M錐体、S錐体と呼ぶ)があるので、錐体が視覚の基盤となる明るいところでは色の見分けが可能、つまり、色覚が生じるわけである。
なお、錐体のうち1種類が欠けていたり、はたらきが悪かったりすると、2ユニット状態に近くなり、3種類の錐体が働いている場合よりも見分けがつきにくい色が増える色覚多様性:color vision varation)
例えば、最も長波長に感度の高い錐体(L錐体)が欠損したり、機能が低下していたりすると、赤と緑の区別がしにくい。
色覚多様性の出現には遺伝が関係しており、L錐体やM錐体の欠損や機能低下は男性での出現頻度が圧倒的に高く、日本人男性では約20人に1人、女性では約500人に1人となっている(岡部・伊藤、2002)。

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