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感覚の科学ー感じるしくみー2

感覚の科学―感じるしくみ―2

(3)網膜での神経接続:受容野と側抑制

光感受細胞が神経信号に変換した光強度情報は、中継する細胞(両極細胞)を経て網膜神経節細胞(retinal ganglion cell 以下、神経節細胞と記述)で集約され、脳へと伝えられる。
実は、情報が集約される程度は、網膜上の位置によって異なる。
中心窩付近の光感受細胞は、1対1の関係で神経節細胞へと接続するのに対して、網膜の周辺領域の細胞は、複数の光感受細胞が1つの神経節細胞へと接続している。
つまり、周辺領域では、1つの神経節細胞の反応に影響を与える網膜上での領域、ひいては視野内での守備範囲(これを受容野(receptive field)という)が広くなっている。
受容野が広くなるとそれだけ多くの光を集められるので、全体としては弱い光でも反応できる(感度が高くなる)が、その一方で、受容野内のどこを担当する光感受細胞が信号を送ってきたのかは区別できないため、細かな場所の違いはわからなくなる解像度(resolution)が低くなる)。
感度と解像度は一般に両立が難しく、トレードオフ(trade off)の関係になっている。
人間の視覚は、解像度を重視する中心視と、感度を重視する周辺視からなる、二重のシステムを備えているといってもよいだろう。
また、網膜での信号の集約には、単に受容野を広げるという以上の機能が備わっている。
この受容野の構成には、ある光感受細胞が発する信号が、近くの光感受細胞からの信号の影響を抑制するしくみが働いている。
このしくみは側抑制(lateral inhibition)と呼ばれ、「差」の検出や強調に繋がる。
一様に塗られた短冊(上)をつなげたパターンなのだが、明るさの異なる短冊の境界で、暗い短冊側はより暗く、明るい短冊はより明るく感じるのではないだろうか。
これはマッハの帯の呼ばれる錯視で、網膜レベルでの側抑制がその基盤になっていると考えられている。

(4)眼球から脳へ

さて、神経節細胞の軸索は網膜上の1か所に集められ(視神経乳頭)、そこから束になって脳へと送られる。
この軸索の束を、視神経(optical nerve)という。
神経節細胞は網膜の最も内側(眼球の中心に近い側)に位置しているので、視神経の出口付近では光感受細胞をかき分けて進む構造になっており、そこには光感受細胞は存在しない。
そのため、この出口付近に対応する視野内の箇所は盲点(blind spot)となっている。
実際には視野内の適当箇所についての視覚情報は得られていないにもかかわらず、意識的な視世界においては、周囲と同じような表面が続いているとみなされて、テクスチャの補完が行われていることになる。
この補完には、視神経が到達する先、すなわち脳での視覚情報処理が関わっている。

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