記憶のしくみⅡ-日常記憶ー2
記憶のしくみⅡ-日常記憶ー2
2.記憶は変わる、記憶は植え付けられる
(1)フラッシュバルブ記憶の場合
フラッシュバルブ記憶について語る本人は、その記憶について自信を持って「鮮やかに覚えている!」と回答するが、その内容は必ずしも正確とは限らない。
これは確信度ー正確性無相関現象と呼ばれている。
(2)自伝的記憶の場合
出来事が起きた当時よりも、評価が肯定的になる現象は「バラ色の回顧」と呼ばれる。
さらに、日常生活では、自分が釣った魚の話を実際よりも大きく話すなどして自分の都合のよい方向に事実を歪めてしまう自己中心性バイアスが生じることや、自分が選択したものは実際以上によいと感じたり、逆に選択しなかったものは実際以上に悪いと感じたりする選択支持バイアスが生じることが知られている。
(3)目撃証言の場合
(4)植え付けられた記憶
記憶の変容とは別に、経験していない出来事を経験した出来事のように思い出すことがあるという。
これをフォールスメモリ(Fales Memory : FM)と呼ぶ。
「過誤記憶」や「虚偽記憶」(偽りの記憶)と訳されることもある。
FMに関しては、様々な検証がなされてきた。
例えば、ロフタス(1994)は「ショッピング街で迷子になったこと」、ハイマン(1995)「ウェディングパーティーでパンチ・ボールをひっくり返したこと」、スパノスら(1999)は「乳児の頃にベビーベッドの上にモビールがかかっていたこと」を、(実際にはなかったが)過去に体験した出来事として、それぞれを実験参加者に提示し、その後子どもの頃の記憶について再生を求めた。
結果、実際に体験した出来事と共に、FMも再生された。
つまり、幼児期の自伝的記憶に実際に存在しない記憶を植え付けること(インプランテーション)が可能であることが証言されたのである。