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クリティカルに考えるー信じる心、見抜く心ー3

クリティカルに考える―信じる心、見抜く心―3

3.見抜く心を育む

正しく「推論」する力、すなわちクリシンを身に付けるには、スキーマの特徴を理解すると同時に、具体的に「クリティカルに考える」方法そのものを学ぶことが重要である。
特に、ロジカルな思考とは異なり、クリシンは自分の中だけで完了したのでは意味をなさない。
他者との関係の中で正しい形で発揮され、そして行動することが求められる。
知識も推論も「経験」という学習の積み重ねで育まれることを考えると、その教育は、大学よりも以前の早期から行う必要があるといえよう。

❶いろいろな問題に興味をもつなど知的好奇心を示す
❷主観によらず、客観的に考えることができる
❸開かれた心(=色々な立場や考え方を考慮する)をもっている
❹必要に応じて考え方を改めるなど、思考が柔軟であること
❺証拠の有無にこだわるなど、知的懐疑心を示す
❻知的な面で誠実(=自分と違う意見でも認めることができる)
❼何事に対しても道筋だった考え方をする
❽問題解決に対する追求心が強い
❾決断力がある
❿他者の意見に耳を傾ける

(1)ノンクリティカルな思考がもたらす問題

誤った推論、もしくは推論しないことが攻撃という短絡的な行動を招いている可能性がある。
「ノンクリシン」ゆえに生じる問題行動であるといえるだろう。

(2)クリティカルシンキングとモラルシンキング

PSHE(Personal, Social and Health Education)の教育内容は、日本で実施される「特別の教科 道徳」において実現しそうだ(2018年度から小学校で、2019年度から中学校で導入される)。
道徳教育に関して、これまで日本では「倫理面」よりも「情報面」の育成が重視されてきた感があるが、今後はそれを含めて、生徒が主体に「考えて、議論する」方向に転換していく(文部科学省、2016)
これは、まさにクリシンをベースとした道徳的思考=モラルシンキング(moral thinking)と呼べるもので、今後さらにその概念は発展していく可能性がある。

(3)クリシンと21世紀型能力

日本では、道徳教育の転換に先立ち、2013年に国立教育政策研究所から「21世紀型能力」が提案された。
その中核となる「思考力」の中で初めて、「クリシン」(批判的思考力)「メタ認知」といった文言が明示された。
21世紀型能力「生きる力」に必要な3つの汎用的能力(基礎力、思考力、実践力)で構成されるが、その中に、学校教育で育成すべき資質・能力としてクリシンメタ認知が明示されたことは、知覚・認知心理学にとっても大きな意味があるといえる。

(4)クリシンの態度測定と実践研究

池田ら(2015)は、3年にわたって高校生を対象にクリシンの授業実践と横断調査を行い、クリシン態度として「探求心」「他者尊重」「自己調整」の3因子があること、また、クリシンの「探求心」「キャリア基礎力」双方向に作用する(相乗的に伸びる)ことを明らかにした。
これはクリシン教育が生徒の社会的な意識(社会に置ける状況理解や創意工夫など)を育むことを示唆する。
態度因子に関しては高校生と大学生とで異なる部分があるが、それはクリシンにおいても発達プロセスがあることを示唆するものである。

4.人と人の「間」をつなぐ

「信じる心」になるか、「見抜く心」になるかは、正しい推論ができるかどうか、すなわちクリティカルに推論できるかどうかが鍵になるといえる。

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